モーダル小嶋のTOKYO男子めし 第47回
チキンのトマト煮込みっぽいというか、ラタトゥイユっぽいというか:
松屋「ごろごろチキンのトマトカレー」“カレーっぽくない”のがいいところ
2021年05月25日 16時00分更新
「ごろごろチキンのトマトカレー」
松屋
5月18日発売
690円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/210518.html
カレーにもいろいろありますが
カレーを知らない人はなかなかいないと思いますが、では、その定義とは……となると、かなりの議論になりそうです。世界各地で異なるものが作られていますし、その食べ方も千差万別。具材だって人それぞれです。
とはいえ、日本では、カレーをごはんにかけて食べるカレーライスが一般的である、といっても差し支えないと思います。まあ、2021年現在、実に多種多様なカレーライスがあるわけで、「カレーっぽい」「カレーっぽくない」という概念も曖昧であるのは確かなのですが……。
さて、松屋は5月18日から「ごろごろチキンのトマトカレー」を販売しています。
2018年から発売を開始した「ごろごろチキンのトマトカレー」は、「2020年第2回松屋復刻メニュー総選挙」にて激戦の末、惜しくも僅差で「シュクメルリ定食」(1位)に敗れたものの、根強いファンが多いのだとか。
今回は、新たに“令和仕様”にアップデートして期間限定で復刻販売。トマトの酸味とスパイスの辛味がたまらないトマトカレーに、鉄板で焼き上げた鶏もも肉をプラス。今回は夏野菜も入り、旬の野菜を堪能できるとうたいます。さらに、とろりとしたチーズをたっぷりトッピングした「ごろごろチキンのチーズトマトカレー」も同時発売。
価格は、ごろごろチキンのトマトカレーが並690円/大盛790円、ごろごろチキンのチーズトマトカレーは並790円/大盛890円(いずれも税込価格)。持ち帰り可能(店内・持ち帰りの税込価格は同一だが、持ち帰りの場合みそ汁は別途60円)。
ただ、2018年に初登場した時は並590円、大盛690円だったので、100円値上がりしているところはちょっと気になります。
まとまりよりもインパクトで勝負するカレー
さてさて、ごろごろチキンのトマトカレーは、いわゆる「カレーライス」とはすこし異なるのですよね。どっちかというと、チキンのトマト煮込みのような感じがするんですよ。
トマトの酸味、スパイスの刺激はもちろんのこと、味が濃くてニンニクの香りも強いため、松屋の定食のソースと味付けの雰囲気は似ています。そこに淡白な味わいの鶏肉と、シャキッとした食感の夏野菜(なず、ズッキーニなど)が加わることで、トマトの風味も活きてくる。
そういった意味で、いわゆるカレーというよりは、トマト煮込みのような風情があります。夏野菜の食感のために、ラタトゥイユ、あるいはカポナータみたいな感じもあるかな。
トマト、ニンニク、唐辛子などは、入れると旨味が出るので、その素材の旨味を活かして作ったカレーといえるかもしれません。どっしりしたコクというよりは、さわやかな刺激がメイン。全体のまとまりというよりは、トマトの酸味やニンニクの刺激、チキンと夏野菜の食感など、個々の要素で食べさせるカレーといえます。
だから、松屋の他のカレーには似ていないばかりか、こういうカレーはあまり他では食べられないものです。牛丼がメインのチェーン店で「カレーライス」と言って出てくるものとしては、ちょっと変わっている。そこが人気の秘訣なのかもしれません。
ですから、「刺激的でガツンとくるカレー」と好意的に評する人もいれば、「もっとまろやかなほうがよかった」と思う人もいるでしょう。このあたりは個性が強く出ているがゆえに仕方ないことで、あとは好き好きなのですが、すくなくともやりたいことは見えているように思います。カレーっぽくないのがいいところ……と評してもよいかも。
全体的にワイルドというか、インパクトで食べさせるカレーなので、暑くなってくるこの時期にピッタリといえるかもしれません。もっとも、いわゆる「カレーライス」の味わいとはすこし違うので、その点で戸惑う人はいるかもしれないですね。
そういう人はチーズをトッピングするのがよいのだと思います。そうなると790円になっちゃうので、すこし高いかな、とは感じますが……。
暑い時期にちょっと汗をかきながら食べたいカレー。すごく完成度が高い……というものではないかもしれませんが、松屋でしか食べられない、というところは大きいと思います。気にいる人はすごくハマるタイプのメニューではないでしょうか。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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