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Apple M1搭載で大幅性能アップの「iPad Pro」&カラフル7色「iMac」特集 第29回

約4割速い「M1搭載iPad Pro」旧モデルユーザーから見てもうらやましい進化だ

2021年05月19日 22時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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ミニLEDの効果は「ばつぐん」だ!

 次の大きな変化が「ディスプレー」だ。特に12.9インチモデルについては「ミニLED」の採用が話題となっている。ミニLEDは液晶のバックライト技術であり、主に「暗いところをちゃんと暗く表現する」ことでコントラストを高めるのに役立つ。

 画質チェックの前に以下の写真をご覧いただきたい。左が2021年モデル、右が2020年モデルだ。同じ写真を表示し、カメラのISO感度を上げて撮影している。2020年モデルは、黒い部分がうっすらと明るくなっているのがわかるだろうか。これがいわゆる「黒浮き」だ。2021年モデルは黒いままで、フレーム部分の黒との境目がわからない。

ISO感度を上げ、「黒浮き」の様子を確認。左の2021年モデルと右の2020年モデルの差は明白。この差は実物だと、肉眼でも十分にわかる

 これだけ黒が沈む、ということを頭に入れた上で以下のサンプルをご覧いただきたい。これらも、左が2021年モデル、右が2020年モデルだ。照明の明るさが際立っており、白の伸びも良い。道路のタイルなどに目をやると、立体感が増しているのにも気づく。

2021年モデル(左)と2020年モデル(右)での画質比較。発色もコントラストも大きく変化しており、立体感がわかりやすくなった

 ディスプレーの発色自体も少々違うようだが、それよりも、全体的な立体感・色の伸びが良くなっている点が重要である。こうした特性は、もちろん映像編集・製作には大きなプラスだ。だがそれだけでなく、映像を単純に「見る」場合にも高画質に感じるわけで、誰にとっても大きな価値を持つ。

 高コントラストのディスプレー、というと「HDR画像」を思い浮かべる。もちろん、HDRの映画をみると、2020年モデルと2021年モデルの差はよりはっきりする。しかし「HDRでないと価値が出ないか」というとそういう話ではない、ということが前掲の画像から見えてくるだろう。

 実はiPad Proが採用したミニLEDの画質傾向は、有機ELを使ったiPhone 12に近い。発色は多少違うのだが、明るい部分の「HDR感」は2020年モデルと比較すると違いがわかりやすい。ただ、コントラスト自体はiPhone 12の有機ELの方が高い(200万対1)ので、よりはっきりして見えるかもしれない。

 重要なのは、これだけ画質の良いディスプレーが「コンテンツ視聴や製作に気軽に使える製品に搭載された」ことだろう。有機ELやミニLEDの搭載はWindowsのハイエンドノートPCでも増えてきているが、アップルはiPadからその流れをスタートしたことになる。

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