MM総研が、全国の教育委員会、高校教員、高校生世帯の保護者を対象に実施した「高校版GIGA スクール構想における端末配備状況と活用意向」によると、1人1台の端末整備において、15%の教育委員会で「私物スマホ」の導入を検討しており、5%の保護者が「スマホ」を希望していることがわかった。また、整備における費用の保護者負担を利用したり、検討したりしている自治体が約半数に達した。
小中学校のGIGAスクール構想による1人1台の端末配備は、費用の全額を国が負担して実施したが、高校生徒に1人1台の端末配備を行う、いわゆる「高校版GIGAスクール構想」では、国の財政負担は部分的な補助になっており、都道府県や保護者などの費用負担に注目が集まっている。教育委員会では、費用のかからない私物スマホを利用するといった検討が始まっていることが浮き彫りになった。
今回の調査は、3月までに行った電話アンケートやウェブアンケートの結果をまとめたもの。47都道府県の教育委員会のうち、40自治体からの回答を得たほか、1196人の教員(公立系学校教員 69.9 %、私立系学校教員 30.1%)と、1万1000人におよぶ中学校3年生~高校2年生の子供がいる高校生世帯の保護者から回答を得た大規模なものになっている。
教育委員会の費用負担がない、個人のスマホをBYODする
保護者が期待する1人1台端末の種類では、最も多いのがパソコンで、全体の54%を占めたが、キーボード付きタブレットが24%、キーボードなしタブレットが10%となり、全体の約3分の1をタブレットが占めている。また、スマホと回答した保護者が5%を占めるという結果が出た。これは小中学校の端末整備とは大きく異なる点だ。
また、有効回答を得た40自治体のうち、15%にあたる6自治体が、高校の1人1台の端末配備に、私物スマホの利用を検討すると回答している。
高校生の9割以上がスマホを所有しているという調査結果があったり、多くの高校がスマホの持ち込みを許可しているといった実態などを踏まえて、教育委員会の費用負担がない生徒が所有している個人のスマホを、BYOD(Bring Your Own Device)などによって導入することを検討しているようだ。こうした使い方では、授業での検索作業などにスマホを利用したり、すでに整備されているパソコンとの組み合わせによって利用するといったことも視野に入れているようだ。
だが、教員の間からは、「スマートフォンでは授業は困難」(理科教員)という意見などもあがっている。