2021年5月18日、エクイニクス・ジャパンは2021年度の事業戦略説明会を開催した。登壇した代表取締役社長の小川久仁子氏は、就任1年目の振り返りとともに、エッジサービスのビジネス拡大とパートナー協業の強化にフォーカスした事業戦略を披露した。
コロナ禍で拡大したインターネットと歩調をあわせて成長
登壇した小川氏は、就任1年目の振り返りとして、まずグローバルと日本の実績を振り返った。コロナ禍で大きく変化したビジネスとライフスタイルの中、クラウド、ゲーム、コンテンツが牽引し、インターネットトラフィックはコロナ禍前に比べて約1.7倍に増加。また、クラウド接続拠点であるクラウドオンランプも、1年分の増加数を四半期で達成し、インターコネクトの数も競合他社を全部足した数よりも大きい6700になった。
グローバルのエクイニクスの実績としては、連続増収がついに73四半期連続となり、リテールコロケーション市場でのマーケットシェアもすべてのリージョンでトップとなった。従来もUS・EMEAでトップだったが、初めてAPACでも一位となったという。
日本における実績としては、データセンター拡張を引き続き推進。近年フォーカスししているハイパースケーラー向けのxScaleデータセンター「TY12x」や「OS2x」、既存のエンタープライズを前提としたIBXデータセンターも「OS3」のほか、「TY11」のフェーズ2の開発を進める。
また、データセンター事業の枠を超えたデジタルインフラ企業への土台作りとして、最近では「Platform Equinix(プラットフォームエクイニクス)」を提唱し、エッジサービスの展開も進めている。従来型データセンター企業からの脱却に向けて、オンラインイベントの開催も進め、の認知度も上がっているという。
さらに、「お客さまバリューの拡大」を目指したエッジソリューションチームやチャネルパートナー組織、さらに「組織カルチャーの変革」を目的としたDIBや変革プロジェクトを発足した。たとえば、日本市場向きの「Project SUNRISE」では、従業員とのコミュニケーションを継続的に進め、社員選抜で日本でのビジネスにフォーカスしたビジネスプランニングチームとそれを下支えする組織を構築するカルチャー変革チームを発足。2年間をかけて、日本での新しいビジネス機会を模索する。
日本でのエッジサービスのビジネスを立ち上げを強化
続いて小川氏は、2021年の事業戦略を披露。「すべてのデジタルリーダーにとって必要不可欠なパートナーに」を掲げ、「関西エリアの強化」「パートナー戦略の進化」「エッジサービスの拡充」という3つを重視するという。
関西エリアにおいては10月にIBXデータセンターのOS3、12月にxScaleデータセンターのOS2xのサービス開始が控えている。従来、関西圏はデータセンターが少なかったため、東京のようなデータセンター間接続ができなかったが、OS3の開設によって関西エリアもキャンパスネットワーク化を進め、東京と大阪間の接続も強化する。さらに3月17日には関西エリアに強いオプテージとのパートナーシップを発表済みだ。
また、パートナー戦略に関しては、2025年まで間接販売を50%にまで引き上げるのを目標に協業を強化。クラウドサービスプロバイダー、テクノロジーパートナー、リセールパートナーの3つのパートナーとの共同施策を手がける「Power of 3」や共同ソリューションの開発、さらにエッジソリューション向けの技術者の育成を手がける。
さらにグローバルで進めている「エッジサービスの拡充」だ。まずパブリッククラウドへの接続サービスである「Equinix Fabric」では、新たに中国圏の接続提供を開始。Equinix Fabricのユースケースとしては、AWS上のWebサイトと、Oracle Cloud上の顧客データベースを相互接続するクラウド間ルーティングの事例が披露された。
また、ネットワーク仮想化サービスである「Network Edge」も、東京で4月にサービス開始され、第4四半期には大阪でも開始。ベアメタルサービスである「Equinix Metal」も6月に東京でサービス開始され、2022年には大阪で提供予定。さらに、各サービスの設定・運用をエクイニクス側で代行するマネージドサービスも発表されており、Equinix FabricとNetwork Edge向けサービスが同日開始、Equinix Metal向けサービスが7月1日に提供開始の予定となっている。