経団連会長も務めた中西氏の後任を決める人事
日立製作所は、小島啓二副社長が社長兼COOに就任するトップ人事を発表した。2021年6月23日の定時株主総会後に就任する。東原敏昭社長兼CEOは、5月12日付で会長兼社長兼CEOに就任し、6月23日には、社長職を小島氏に譲り、会長兼CEOに就任する。また、中西宏明会長は、5月12日付で相談役に就いた。
今回のトップ人事は、中西氏の「療養に専念したいという本人の意思を尊重したもの」(東原会長兼社長兼CEO)であり、中西氏による日立製作所会長の辞任申し入れが発端になっている。中西氏は、自身が務めている経団連会長についても、6月1日に開催される定時総会にあわせて、健康上の理由で退任することを発表している。
その点では、想定外のタイミングでのトップ人事ではあったが、見方を変えれば、日立の成長を加速する点では、マイナス面はまったくないとの声も聞かれる。
東原会長兼社長兼CEOが、「日立の今後の成長のドライバーは、Lumadaを中心としたデジタル技術を用いた社会イノベーション事業。Lumadaのグローバル展開を加速するには最適な経歴を持っている」と、小島次期社長を評価するように、日立が「一丁目一番地」に位置づけるLumadaの生みの親である小島次期社長が、COOとして経営の実行役を担うことは、まさに日立の成長をドライブする体制が整ったともいえるからだ。
東原会長兼社長兼CEOは、「デジタル技術やLumada事業に対する深い造詣と、構造改革を断行する実行力は、デジタルで成長する日立の社長として、最適であると取締役会が判断した。これまでの指名委員会での議論を踏まえて、取締役会ではスムーズに決定した」と、小島氏の社長選出の舞台裏を語る。
この連載の記事
-
第606回
ビジネス
テプラは販売減、でもチャンスはピンチの中にこそある、キングジム新社長 -
第605回
ビジネス
10周年を迎えたVAIO、この数年に直面した「負のスパイラル」とは? -
第604回
ビジネス
秋葉原の専門店からBTO業界の雄に、サードウェーブこの先の伸びしろは? -
第603回
ビジネス
日本マイクロソフトが掲げた3大目標、そして隠されたもう一つの目標とは? -
第602回
ビジネス
ボッシュに全株式売却後の日立「白くまくん」 -
第601回
ビジネス
シャープらしい経営とは何か、そしてそれは成果につながるものなのか -
第600回
ビジネス
個人主義/利益偏重の時代だから問う「正直者の人生」、日立創業者・小平浪平氏のことば -
第599回
ビジネス
リコーと東芝テックによる合弁会社“エトリア”始動、複合機市場の将来は? -
第598回
ビジネス
GPT-4超え性能を実現した国内スタートアップELYZA、投資額の多寡ではなくチャレンジする姿勢こそ大事 -
第597回
ビジネス
危機感のなさを嘆くパナソニック楠見グループCEO、典型的な大企業病なのか? -
第596回
ビジネス
孫正義が“超AI”に言及、NVIDIAやOpen AIは逃した魚、しかし「準備運動は整った」 - この連載の一覧へ