データのサイロ化を防ぐために
このように、デジタルフロントドアでは、3つの段階を踏んで、データの利活用と、それに必要となるAIなどの最新テクノロジーが重視され、デジタルコミュニケーション環境の実装と実現も進むことになるという。
「コロナ禍によって、ニューノーマルに向けた変革のスピードが速まっている。企業は、デジタルフロントドアの仕組みを活用しながら、これまでのスピードを見直し、このモーメンタムを逃さないことが大切である」とする。
デジタルフロントドアを開けた事例のひとつとしてあげるのが、三菱UFJ銀行だ。
Google Cloudのチャットボット向けAIソリューション「Dialogflow」を導入。三菱UFJダイレクトに寄せられる月間約2万7000件の問い合わせにチャットボットが対応し、現場の負担軽減や業務効率化を実現。チャットボットが回答できない場合にはオペレーターにつなぐが、その際にも、それまでのやりとりから類推して、様々なレコメンデーションを追加した上でエスカレーションしているという。
また、セブン−イレブン・ジャパンは、全国2万店舗以上のPOSデータをリアルタイムで収集、し分析するためのデータ活用基盤である「セブンセントラル」を、2020年9月に構築。そこに、Google Cloudを採用し、DXを推進しているという。
ここでは、1日あたり1億5000万件のデータをクラウド上にリアルタイムで収集し、店頭の最新状況を把握することで、全社各部署が最新のデータをもとに、いち早く対応することができるという。
平手代表は、「一般的に、システムが拡大するほど、データは複数のシステムに分散することになる。その結果、必要なデータを効果的に取り出せなかったり、店舗から収集したデータの参照に時間がかかったりといった課題が生まれることになる。データとビジネスロジックが一体化していると、データのサイロ化がどんどん進む。また、システム間連携が密結合であるため、これを変えるにはコストがかかり、時間もかかるという状況が生まれる」と課題を指摘。「セブン−イレブン・ジャパンでは、Apigeeによってデータとビジネスロジックを分離させたほか、メッセージングサービスであるGoogle Cloudのストリーム分析ソリューションを活用してPOSデータを取り込み、リアルタイムにデータを加工して、Cloud SpannerやBigQueryからデータを活用できるようにしている」とする。
グーグル・クラウドでは、ハイブリッド/マルチクラウドを実現するAnthosや、大規模なデータの整合性を保ちながら水平スケールができるデータベースのSpanner、データセンター規模のリソースを利用し、超分散並列処理で分析ができるBigQuery、コンテナ化されたアプリケーションを実行し、本番環境に対応したマネージド環境を提供するGoogle Kubernetes Engineといった製品を持っており、さらに、Apgieeによって、データ基盤に対する統一的なAPIを提供することができる。こうした製品群がデジタルフロントドアの実現を支えることになる。
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