「さばの味噌煮定食」
松屋
690円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/210323.html
さばの味噌煮が遠因で実らない恋もございます
競馬の話をします。ウマ娘の話ではなくて。大井競馬で「サバノミッソーニ」というユニークな名前の競走馬が、3月9日に初勝利をあげたそうです。さばの缶詰は栄養もあり骨も食べられるということで、そのようにすばらしい中身の馬になってほしいというような理由で、馬主の方が命名したそうです。
このように競走馬の名前にもなるぐらい、さばの味噌煮は日本人におなじみです。ちなみに、さばの味噌煮のルーツには諸説ありますが、森鴎外の小説にも登場しますから(『雁』)、少なくとも明治時代にはあったわけですね。
さて、松屋は3月23日から「さばの味噌煮定食」を販売しています。
3月2日より販売中の朝定食「さばの塩焼き定食」に続く、さばメニュー第2弾。こちらは全時間帯で提供となります。
旨みたっぷりのさばを、熟成もろみ味噌でじっくりと煮たとのことで、“普通じゃない”逸品とうたっています。ミニお新香が付いた「さばの味噌煮定食」(690円)、豚汁がセットになった「さばの味噌煮定食豚汁セット」(790円)、さらにとろろが付いた「さばの味噌煮御膳」(890円)を用意。
いずれもテイクアウト可能(価格は同一ですが、みそ汁は付きません)。新発売を記念して「さばの味噌煮定食」「さばの味噌煮御膳」を注文すると、4月6日10時までライス大盛が無料サービスとなります。
“普通”においしいけど、それでいいかしら
さっそく頼みました。なんとなく、豚汁セット(790円)です。うーん、790円であればお新香だけでなく、もうすこし何かついてくれば……とも思いつつ、主役はさばの味噌煮なので、そこのクオリティーにかかってきます。
一言で言えば、悪くないです。さばの身はジューシーですし、変にパサパサしていません。家でやると、こういうところで失敗しがちですよね。みそ汁みたいになっちゃうこともあるし。
香りもちゃんとしていて、もろみ味噌の味わいも出ています。単に甘辛いだけではなくて、コクがありますね。松屋の場合、定食のおかずは味が濃すぎることもあるのですが、このさばの味噌煮はそれほど問題ない。ごはんもしっかり進みます。
さて、問題は、これが“普通じゃない”と言えるほどのものか、ということです。別に言いがかりをつけたいわけではなくて、何しろ松屋が公式で“普通じゃない”とうたっているわけですから、そこは気になるというもの。
そう考えると、“普通”のさばの味噌煮とはなんだろう、という気もしてきますよね。普通とはなんだろう。松屋のカウンターで、モラトリアム期みたいな思考回路になってしまいます。
さばの味噌煮だって、「お前って普通のおかずだよな」と言われたくはないはず。よくて善戦、脇役ポジなアタシに……なんて思っていたらどうしよう。キミは主役だよ!
ともかく、よくできているとはいえ、“普通じゃない”というほどなのかなあ、とは感じました。味はなかなかまとまっていますし、食感もきちんとしているのですが、もう絶品! この春のマスト! と書くほどかと言われると悩ましいし、ボリュームなどがめちゃくちゃすごい、ということもない。
もろみ味噌の香りも、たしかに独特なものがあり、アクセントにはなっていますが、驚くほどの大発見というほどではないのかな、と。よく考えると、味噌煮に味噌を入れたわけですから、自然にはなりますが、“普通じゃない”要素はない。
“普通”においしいけれども、そもそもの売り文句を考えると、その評価でよいのかどうか。どうせならもっとデラックスな感じがあればという気もしますが、価格を考えるとこれぐらいが相応なのかな。
一般的なさばの味噌煮定食として考えれば、松屋の定食はお肉ばかりだし、こういうのはあってもいいよね……とは思います。まあ、松屋でこれを食べる必要があるのか、と考える人もいるでしょうが、そこは好き好きでしょう。
なんというか、ベーシックな味わいです。普通じゃない、とは断言しにくい出来でもあります。味付けといい、さば自体の食感といい、よくできてはいるのですが、桁違いの何かがあるわけではない。
決してハズレではありませんが、ただ、“普通じゃない”と自称している以上は、「そこまでかなあ」と言いたくはなる、という感じでございました。現場からは以上です。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。好きな日向坂46の楽曲は「ドレミソラシド」。
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