連載では、角川アスキー総合研究所が運営するECサイト「アスキーストア」の商品紹介記事をサンプルに、SEO極〜KIWAMI cloud〜を使ってSEOの側面から解析を試み、できる範囲での改修をした。
検証の対象として選んだのは、1月に掲載された熱が逃げやすく、蒸れない! フェイスシールド可動式モデルという記事だ(現在は、SEO極〜KIWAMI cloud〜を使った改修により、可動式フェイスシールドが便利すぎる。熱が逃げやすく、蒸れない!というタイトルに変わっている)。
SEO極〜KIWAMI cloud〜を使った解析で、「飛沫」や「感染」「個人」など、「フェイスシールド」をキーワードとしてサイトの上位化を狙いたい場合に積極的に使いたいワード=共起ワードがほとんど使われてなかったことがわかった。
改修をした結果、現在は「7割以上のキーワードが使われている」という評価に変わっている。また、タイトルや見出し、テキスト量も大幅に変わっており、元々の記事よりも、詳しく/多い情報量を、見出しで整理したページになったと思う。
また、このページは「ページスピード=ユーザーが検索結果をクリックし、ページを読み込むさいのスピード」の評価がSEO極〜KIWAMI cloud〜基準で「35」と、悪かった。
改修(第6回目の内容を参照)を試みた結果、ページスピードは、現在「50」まで向上している。テキスト量や見出しの追加などで、情報量は増えているものの、画像を圧縮し、より軽いデータに変換して登録しなおしたからだ。
画像の解像度は当初より大きく下げているが、サイトの構造上、拡大クリックをしない限り、見た目の印象はほとんど変わらない。ここでのポイントは、情報量は増えているにもかかわらず、読み込みが早くなり、SEO的に優れた状態にできたという点だ。
検索エンジンでの順位の変化と、新たな流入キーワードで検索した際に、対策対象ページが検索結果に出現したことに、まず驚いた(第8回目の内容を参照)。
「フェイスシールド」というキーワードは改修前の3月時点で13位だったが、改修後は4月5日時点で9位となり、4位の上位化に成功した。一時的な上昇だったとしても、検索の1ページ目に表示されたことは、大きな変化だと思う。
また、アクセス数への影響について、ASCII.jpではアクセス数を公表していないため、グラフや実際の数字を発表できない。ただ実際には、記事の改修日までの10日間と、改修後の10日間のアクセス数を、Google Analyticsで集計してみたところ、アクセス数には大きな差が出ていた。
1本のサンプルでは(たまたま何かしらの条件が重なった可能性もあるので)断言できないものの、改修日を入れて4日間は、特に大きな検索順位の変化が見られた。今後も経過を見守っていきたい部分だ。
なぜ「いい記事」が「よく読まれる記事」になるの?
連載当初、私は、SEO対策をすると、サイトの美しさや面白味が損なわれ、いかにもアクセスアップのみを狙ったようなページができるのではないかという懸念を持っていた。
でも、これは誤りだったと思う。講習を受けたいま、ウェブ記事というコンテンツを制作する場合においてのSEO対策は、ワードの選定や文章の作り方を論理化し、ユーザーフレンドリーなページを追及する作業にも思える。
人間の感覚には粗や波がある。コンテンツの面白さや文章の美しさを判断することはできるが、そこには個人差があり、さらに記事を目にした時間や時期、環境、感情といった、不確定なもので基準が動いてしまうこともある。
SEOの考え方を取り入れた記事制作には、客観的な「いいページ」の条件を洗い出し、そこを目指すという作業が入る。これは、人間の感覚を補強してくれるようなものとも言えるかもしれない。
じゃあ、なぜ「いいページ」はSEO的にも優れているということになるのだろう? 連載が始まる前に、ディテイルクラウドクリエイティブ 代表取締役社長の南雲氏と話した際、彼は「Googleとか検索エンジンって、 ユーザー心を全て把握している神と思うといいですよ」ととしきりに言っていた。
そのときは「Google対策が大事ってことかな?」くらいにしか思わなかったのだが、改めて考えると、最近のGoogleの検索エンジンが、情報量が多く、よくまとまっていて、見やすいページ=いいページを上位化する仕様になっているということだ。また、Googleの検索エンジンが合わせて優れたページの客観的な条件をかなり緻密に定義していて、その条件に合わせると、自然と価値のあるコンテンツになりやすいということだ。
……とは言え、これでわかった気になってはいけない。なにしろ私は、2ヵ月前にSEO対策を学びはじめたばかりのまだまだ初心者だ。連載を通して、SEO対策には地道な改修と検証の繰り返しが必要であることも、よくわかった。今回の連載では実践できなかったことも含めて、これからも研究を続けていきたいと思う。
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