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佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第53回

Roon 1.8の新機能を解説、検索・絞り込み機能が大きく進化

2021年02月15日 13時00分更新

文● 佐々木喜洋 編集●ASCII

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 PC上で音楽を再生するには、専用アプリケーションを使用するのがもっとも使いやすく音質も優れている。

 その音楽再生専用のアプリケーションの中で、近年人気が高く、海外の展示会などで標準的に使用されているソフトウェアが「Roon」(ルーン)だ。MacintoshでもWindowsでも使用ができる。

 Roonの特徴はUSB DACのみならず、ネットワーク透過のシステム拡張性と音楽を見つけ易い操作性の高さだ。この日本でもユーザーが増えているRoonの最新バージョンである「Roon 1.8」が先週登場した。CEOのENNO氏が言うのは、かつてない刷新になったということだ。

Roon Labsホームページから

 まず、UIが完全に新規設計されている。2.0と呼称しても良さそうな大幅な刷新だ。このデザインは美術館からインスパイアされていて、美を表現する空気感を持つとしている。ボールドを多用したフォントも工夫されていて、高級な音楽雑誌をイメージしたレイアウトだともしている。

iPadでの利用イメージ、画像はRoon Labsホームページから

 また現在のRoonの心臓部とも言える「Valence機能」が進化した。ValenceはRoon内部の検索エンジンのようなモジュールだが、AIを意識した知的なソフトウェアだ。そのValenceが膨大なメタデータを利用して、コンテキストや意味を考慮しながら市場のストリーミングサービスのおすすめ機能を超えるような進化をしたということだ。これで埋もれていたような音楽を浮かび上がらせることができるという。

 Valenceは見えない進化だが、見える進化として大きいものは「Focus機能」がより使いやすくなった。Focus機能は探したい音楽を絞り込む機能だが、新しい1.8では下図のようにそれがツリーのよう階層構造となって選択がわかりやすくなった。

ノートパソコンでの利用イメージ、画像はRoon Labsホームページから

 これは新規に設けられたアーティストのDiscography画面で特に有効だ。例えばショパンのページからDiscography画面を表示させると、下図のようにストリーミング先を含めた膨大なソースの中からアルゲリッチの演奏を簡単に見つけることができる。そしてそれを有名な順で提示するというのが今回のValenceの賢いところだという。

 Roon 1.8では、特にクラシック音楽に向いた改良がなされていて、作曲家と演奏者と指揮者の組み合わせなど、ポップ音楽にはない点も加味されている。またValenceもそれを理解しているという。

画像はRoon Labsホームページから

 ホーム画面ではユーザーが最近どのように音楽を聴いているかを表示し、自分で傾向を分析することができる。またRoonもこれを学習している。

画像はRoon Labsホームページから

 総じて言うと音楽を楽しむソフトウエアとして、内部的な進化が大きいと思う。音質的な進化を求める声もまた大きいのだが、それはRoonらしくないということなのかもしれない。

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