今回のひとこと
「デジタル庁の創設や、書類の電子化に向けた法律の整備など、中小企業がIT化やペーパーレス化を進めなくてはならない環境になってきた。大塚商会の顧客の8割は年商10億円以下の企業。中小企業の困りごとを、まるごと解決するのが大塚商会の使命である」
大塚商会が発表した2020年度(2020年1~12月)連結業績は、売上高は前年比5.7%減の8363億円、営業利益は9.5%減の563億円、経常利益は9.7%減の575億円、当期純利益は9.6%減の393億円の減収減益となった。
前年度まで、11期連続での増収増益、増配を達成。売上高は、この10年でほぼ倍増している。「常勝軍団」ともいえる大塚商会が、減収減益となったのは、リーマンショック後の2009年度以来、11年ぶりのことだ。
同社の大塚裕司社長は、「前年度には、消費増税やWindows 7のサポート終了などの特需があり、ハードルが高かったのに加え、2020年度第2四半期(2020年4月~6月)以降、新型コロナウイルスの影響を受けた」と総括。複写機の販売台数は3.5%減の3万6619台で、そのうちカラー複写機が2.6%減の3万5690台。サーバーは20.4%減の2万5507台。PCは14.1%減の153万7963台。タブレットを含むクライアント合計では10.5%減の163万8051台と、ハードウェアの販売台数は、すべてが前年割れとなった。
だが、大塚社長は次のように語る。
「2019年度が特需であったことを考えると、過去5年間は、成長路線を維持しており、巡航速度であると考えている」
確かに、連結売上高は、2016年度を起点にした5年間を見ると、2019年度は特需として頭ひとつ抜けているが、それを除けば、順調に右肩上がりで推移しているのがわかる。また、サービス&サポート事業が0.6%増の3097億円と、わずかだか前年実績を上回ったことは特筆できることだ。大塚社長は、「保守が手堅く売上げを支えているのは、明るい材料」とコメント。また、サプライと保守契約を含むストックビジネスの売上高は、大塚商会単体の売上高は前年比0.8%増の2953億円。「ハードの販売台数が減少するなかで、ストックビジネスの売上高が増加していることは評価できる。収益基盤が強固になり、お客様との縁が切れないものになるからだ。これは、20年連続で増加しており、多くのお客様を継続的に支援することにつながる。大塚商会の将来の安心にもつながる」と語る。
サプライ/コピー保守の売上高は、緊急事態宣言により、出社が制限された第2四半期(4~6月)は、前年同期比12.8%減とマイナス成長になったが、第4四半期(10月~12月)は1.6%増と、前年実績を上回る結果になっている点も明るい要素だ。
2020年のIT業界は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けるなかで、世の中では新たな動きがみられた。それは、大塚商会も同様だ。むしろ、国内のパソコン出荷の約1割を占める大塚商会だからこそ、その影響が顕著だったともいえるだろう。
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