シャオミが発表した「Redmi 9T」「Remdi Note 9T」はどちらも税抜1万円台という驚きの価格で登場した。しかも、Redmi Note 9Tは5Gに対応しながら1万9673円と、日本の5Gスマートフォンの中でも群を抜く安さだ。
2019年12月に日本市場に参入したシャオミだが、1年強の月日を経て日本市場で存在感を一気に高めようとしていることは間違いない。そこで、シャオミの東アジア地域のジェネラルマネージャー・Steven Wang氏にインタビューを行ない、今後の戦略を聞いた。
5Gスマホはキャリア重視
SIMフリー市場に4Gモデルを投入
──今回発表した2製品はどちらも1万円台の低価格ながら性能も良く、シャオミらしいコスパに優れた製品と感じました。2020年も「Redmin Note 9S」「Mi 10 Lite 5G」という低価格モデルを出して、日本市場に手ごたえを感じたのではないでしょうか?
Steven Wang 2020年はこの2機種を通して日本市場から多くのことを学びました。この2機種はいずれも満足できる販売数を記録しています。Redmi Note 9SはSIMフリー市場で好調で、調査会社によると昨年第3四半期に最も売れた製品の1つでした。またMil 10 Lite 5Gは弊社が初めてキャリアと協業したモデルで、販売数の見通しはなかなか読めなかったものの、期待を上回る結果を残しています。
──シャオミのスマートフォンは日本ではどのようなユーザーに買われているのでしょうか?
Steven Wang 我々の調べでは、性別では男性の割合が多く、テクノロジーに詳しい層によく買っていただいております。シャオミのプロダクトに対する価値提案を理解している方々に受け入れられています。一方では製品の電池容量が大きいことから、スマートフォンのヘビーユーザーの方々にも受け入れられています。「シャオミのスマートフォンは電池の持ちがいい」というユーザーフィードバックを多く受け取っています。
──Redmi 9T、Remdi Note 9も引き続き高容量のバッテリーを搭載していますね。2日間使えるほどのバッテリー容量なら安心して使うことができます。SIMフリーで売られるRedmin 9TはMVNOはもちろん、MNOも全キャリアで使えるのでしょうか?
Steven Wang Redmi 9Tはドコモ、au、ソフトバンクと、楽天を加えた4つのMNOのネットワークでお使いいただけます。またMVNO用のAPNもプリセットしているので、MVNOでの利用も容易に開始できます。
──5G対応のRedmi Note 9Tはソフトバンクから発売となります。昨年の5GモデルMi 10 Lite 5GもKDDIからの発売でした。5Gモデルはキャリアからの発売となり、SIMフリーでは販売しないのでしょうか?
Steven Wang 5Gモデルの展開については、市場の動向を見ながら進めていきます。今の日本市場はSIMフリーマーケットは4Gモデルが主流です。一方でMNOキャリアは明確に5Gへの移行を表明しています。つまり5G端末をキャリアは求めているわけです。弊社としてはキャリアと共に、5Gへの移行を進めていきたいと考えています。
──au、ソフトバンクから製品を出したことで、次はドコモからも製品を出す予定はあるのでしょうか?
Steven Wang 具体的なお話はできませんが、弊社はすべてのキャリアと話を進めています。現時点で言えるのは、シャオミはまだ日本に新規参入したばかりの新しい企業です。そのためあらゆることに手を広げていくのではなく、1つ1つ、しっかりと足場を築きあげながら前進していきたいと思っています。昨年はau、今年はソフトバンクと、チャンネルを確立したところからしっかりとやっていきたいと考えています。
ハイエンドモデルも今年中に投入
シャオミストアの日本開設は必須
──Redmiブランドの製品2つを出したということは、今後も日本で展開する製品はRedmiシリーズが主流となるのでしょうか?
Steven Wang 実は昨年、日本市場にどのような製品を投入していくかというロードマップを示しました。スマートフォンの開発には一般的に8~12ヵ月かかるからです。ロードマップに基づき、今年はいろいろな製品を出す準備をすでに進めています。今年最初に1万円台の製品を出したのは、この価格帯の製品が市場になかったからです。
我々のポートフォリオで低価格帯の製品をカバーしましたから、次は別の製品を出す順番となります。2021年はあらゆる価格帯の製品を出し、日本のマーケットにも発信していきたいと考えています。今年中には上位モデルである「Mi」シリーズの製品も出したいと考えています。
──シャオミは現在、日本でどれくらい知られていると感じていますか? また今後どのように日本市場でのプレゼンスを高めていこうと考えているのでしょうか?
Steven Wang 日本市場に参入してまだ1年ですし、ニッチなブランドという状況は十分理解しています。我々の認知度はまだ高くないでしょう。2020年は学びの年でしたが、2021年はシャオミのブランドをより日本の消費者の方々に知っていただこうと様々な展開を考えています。そのために3つの方針を掲げています。
1つ目は製品を容易に入手できるようにすることです。Redmi 9T、Redmi Note 9Tも販売チャンネルを拡大していますが、弊社の製品を買える場所を増やすことで、購入しやすい環境を広げていこうと考えています。
2つ目はクチコミを使った製品評価・評判の拡大を増やしたいと思います。シャオミのスマートフォンを買ったユーザーが、その良さを家族や友人、さらにSNSなどオンラインを通じて拡散していただけるようになれば幸いです。では、そのためにはどうすればいいのか。それは消費者の方々の期待を常に上回る性能・価格を備えた製品を市場に送り続けることだと考えています。
そして3つ目は広告展開です。今年は広告にも力を入れる予定ですので、今後シャオミの名前を様々な場所で見かけることができるようになるでしょう。それにより一般消費者の方々にもシャオミの名前が知られるようにしたいと考えています。
──海外ではシャオミの製品を集めた店舗「シャオミストア」を展開しています。日本での展開予定はないのでしょうか?
Steven Wang シャオミストアは弊社のビジネスモデルの中でも中核をなすものです。日本でのシャオミストアの展開は常に考えてます。
しかし、現在は新型コロナウィルスの影響で店舗を新規に開業するタイミングではありません。また店舗を開くとなると、一定数の製品が必要です。残念ながら日本市場にはまだ弊社製品の数は多くありません。そして店舗展開をするのであれば、まず先にブランド認知度を高めなくてはなりません。
そのため、現時点では日本でのシャオミストアの具体的な開業時期についてはお話しできる状況にはありません。しかしいつかは必ず日本にもシャオミストアをオープンする予定にしています。
──ありがとうございました。
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次はブランドの認知を。端末の性能と価格で日本市場にインパクトを残したあとは、ブランドの認知を広げることだとシャオミは考えている。本国ではスマホだけでなく白物家電でも一定のシェアとブランド力を見せるシャオミだが、日本ではまだ始まったばかり。2021年は日本市場で攻勢をかける年になりそうだ。