元アビームコンサルティングの安部慶喜氏が立ち上げ、コンサルビジネス自体の変革も志す
「日本企業のBXとDXを両輪で支援」新会社B&DXが事業戦略を説明
2021年01月29日 07時00分更新
ビジネスプロセス/マネジメント/IT領域のコンサルティングを手がけるB&DX(ビーアンドディーエックス)が2021年1月28日、事業戦略説明会を開催した。「日本企業のビジネストランスフォーメーション(BX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する」という目標を掲げ、元アビームコンサルティング 執行役員の安部慶喜氏が今年1月に立ち上げた新会社となる。
安部氏は「日本企業がDXに成功していない理由」として、1)DXが「デジタルツールの導入」という発想にとどまっており「デジタルを使った自動化」にしかなっていないこと、2)トップの強いコミットメントによる全社横断的な変革に踏み切れていないこと、3)経営層も中間層も現場も、自ら課題を発見して能動的に改革を進めていくという意識に切り替えられていないこと、の3点を指摘する。
「そもそも『DXとは何か』という問いすら、経営者によって答えが違うのではないか。DXとは『デジタルを活用した企業変革』であり、つまり重要なのは『D(デジタル)』よりも『X(企業変革)』だ」(安部氏)
B&DXという社名の由来も、DXを成功させるためには、デジタル面での変革だけでなくビジネス面での変革も欠かせないという考えからだという。同社ではトランスフォーメーションを図る顧客企業を、組織や制度、プロセス、意識といったビジネス面の変革と、ツールやテクノロジーというデジタル面の変革の両輪で支援していくと語る。
こうした2軸での変革を融合させ、1つのチームで担当していくのは「大きなコンサルティング会社ではなかなか難しい」と安部氏は語る。アビームコンサルティング時代、安部氏が率いるチームではそういう手法をとっていたものの、それでも全面的にコミットするのは難しかったと振り返る。したがって、このBXとDXを連動させたかたちの顧客支援を、B&DXの特徴のひとつと位置づける。
ほかにも安部氏は、B&DXでは従来のコンサルティングビジネスでは実現できていなかったことを実現していくと、設立の狙いを紹介した。顧客課題を聞いてから動くのではなく「市場の動きを先取りして取り組みを提案、支援する」こと、特定の単一顧客に対する「工数×単価」のビジネスにとどまらない多様なビジネスモデルで「コンサルティングの枠にとらわれない価値/サービスを提供する」こと、メーカーや監査法人などの資本を入れず常にベストな選択肢を提供できる「完全独立組織」として運営すること、の3つだ。
このうち2つめに挙げた「従来のコンサルティングの枠にとらわれない」取り組みについては、将来構想として、従来の単一顧客企業だけでなく特定業界、あらゆる産業をターゲットとするビジネス、あるいは従来の工数×単価型コンサルティングだけでなくバリューベース(成功報酬型、サブスクリプション型)コンサルティング、あるいはコンサルティングと事業を組み合わせたモデルでも展開していきたいと述べた。
「われわれは『コンサルティングかどうか』にこだわりがあるわけではない。ビジネスとデジタルのトランスフォーメーションが支援できるもの、必要とされているものであれば、こうした(新しい形の)サービスも展開していく」
新会社は今年1月から従業員30名体制でスタートした。安部氏によると、その半数以上はアビームコンサルティングで安部氏と共に働いてきたメンバーであり、BXとDXの2軸から顧客を支援するコンサルティングの知見を持つという。
B&DXの事業目標として安部氏は、3年後に従業員数200名以上、パートナーシップ100社以上、そして顧客数(サービス提供先)を1000社以上にしたいと述べた。この「顧客企業1000社」という数字には、上述した新しい形のサービスによる顧客も含まれる。従来のコンサルティング会社が主な顧客としてきた大手企業だけでなく、中堅企業、中小企業も顧客ターゲットにしていくと語った。
「大きなコンサルティング会社だと、どうしても特定の大企業が顧客となり、その企業1社を軸に『どうサービスを提供するか』を考える形になってしまう。中堅企業など、より多くの企業が抱える悩みを解決するということが難しかった。(B&DXの新しいサービスとして)たとえば何らかのノウハウをビデオ化し、それを視聴して自ら勉強していただく、幅広く、少しずつ視聴料をいただくこともできる。日本のDXを大きくしていくという意味で、大企業、中堅企業、ときには中小企業まで、ビジネスターゲットを広げていく方針だ」