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Hondaのハイブリッドスクーター「PCX e:HEV」は通勤特快だった

2021年01月24日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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舞うように走れる走行性能

PCX e:HEVのキー

PCX e:HEVのキー、逆側

 PCXシリーズは全てHonda SMART Keyシステムが採用されており、ポケットにキーを入れたままでもエンジンをかけることができます。エンジンをかける時は、両方のブレーキレバーを握った状態で、セルを押します。ブルっと振動が伝わったら、あとはスロットルを回して走るだけ。スクーターは気軽でいいですね。それよりキーレスエントリーは本当にラク。個人的にはスポーツバイクもHonda SMART Keyシステムにしてほしいと思わずにはいられません。キーを回すという趣味性は理解できるのですが、筆者はうっかりキーを付けたままにしてしまうことが多く……。

Dモードにしたところ

速度計の横にはモーターの回生量や利用量を表示するメーターが設けられている

 まずはノーマルのDモードの状態で街を走ります。シート下やハンドルから、単気筒エンジンらしい振動を感じて思うのは、驚くほどの車体の軽さ! まるでヒラヒラと舞う蝶の如くで、かなり楽しいではありませんか。一方、ハイブリッド車からイメージする静かさとはちょっと違い、常にエンジンが回っている様子。どうやら軽自動車で見かける「マイルドハイブリッド」の動作に似ており、発進時にモーターアシストが働く様子。つまり巡行時は普通のバイクということになります。

フロントサスペンション

リアサスペンション

 乗り心地はもちろんマイルド。サスペンションがとてもよく動き、路面の細かな凹凸を綺麗に吸収してくれます。時折吹く横風も、それほど怖くないことにも驚きです。

 街乗りをして気づいたのは、アイドリングストップが優秀であること。停止したらスグに止まるのはもちろんですが、ブレーキレバーを離してもアイドリングストップしたままと、クルマとは異なる挙動に驚き。しかも、長時間放置していてもアイドリングストップしたままでありながら、ちょっとアクセルをひねればスグに始動します。

左手グリップに設けられたMODE切替スイッチ

スポーツモードにした様子

 お楽しみのSモードにすると、これが驚きの速さ! 信号ダッシュは驚きの加速をみせてくれます。さらに変速ショックみたいなものはありませんから、回したら回した分だけバイクが「かっ飛ぶ」印象。アクセルを開けると約4秒間モーターがアシストするのですが、そのトルクが凄く「コレだよコレ!」と誰もが思わず笑顔になること間違いナシの気持ちよさ。モータードライブは、燃費やエコの面がフィーチャーされがちですが、スタートダッシュのゼロ加速こそモーターの美質だと私は思うのです。PCXのハイブリッド、素敵じゃありませんか!

燃料コック

 驚きはそれだけではありません。燃費が抜群によろしいのです。結構回したと思っているのですが、それでも37km/Lを記録! しかもレギュラーガソリンですからね。東京~横浜間を1リットルで走ってしまうに等しいのですから恐れ入ります。PCX e:HEVのハイブリッドは、いわゆる燃費重視のハイブリッドというより、発進・加速時にモーターがアシストすることで、125cc以上の加速感が得られる、いわば軽自動車でいうマイルドハイブリッドのようなもの。それゆえ街乗りなどで、発進時に余計にエンジンを回さないことから燃費を向上させているのでしょう。

【まとめ】走行モード次第でまったく別の顔を見せてくれる
単なるエコバイクではない「PCX e:HEV」

 「スクーターでしょ?」とタカをくくっていた自分は、PCX e:HEVの楽しさを知って猛省。よく125ccのスクーターは通勤快速とか、都内を走るなら一番速い乗り物と言われたりします。その中においてPCX e:HEVは、通勤快速どころか通勤特快そのもの。蝶のように舞い、蜂のように刺すという形容がピッタリ。繰り返しになりますが、PCXのハイブリッドシステム、ホントにイイです! 自分はクルマもバイクもエンジンの音や振動が大好きですが、乗った後はPCXのハイブリッドシステムのファンに。PCX e:HEVは、単なる便利なエコバイクではなく、バイクそのものの楽しさを改めて教えてくれる存在なのかもしれません。

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