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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第129回

アップル「M1 Mac」2021年以降の展開と、足下に忍び寄る問題について

2021年01月19日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●足下に忍び寄る問題

 Apple Silicon移行の1年目となる2020年は、PCへの需要回帰という市場環境もあり、順調な滑り出しを切ったかに見えます。しかし現在、マイクロチップの製造が思うように進まない可能性も出始めました。PlayStation 5とXbox Series Xの需要が急増が、パソコンだけでなく、スマートフォンや電気自動車にも影響を及ぼしているというのです。

 最新ゲーム機PlayStation 5とXbox Series Xは、いずれもAMDのZen2アーキテクチャをベースにしたCPU/GPUを搭載しています。チップはAMDから調達しており、AMDの7nmプロセス製品の8割が当てられていますが、これを製造しているのはTSMCです。

 供給不足に陥っている原因は、日本の味の素が開発したABFフィルム(Ajinomoto Build-up Film)と呼ばれる素材です。味の素によれば、同社のアミノ酸の技術を使って、液体だった絶縁材料をフィルム化し、ナノメートル単位のCPU端子とミリメートル単位の基盤の端子へつなぐ電子回路の生成に使われているそうです。

 Digitimesは2020年6月から、2021年のABFの供給不足が悪化することを予測しており、これが現実のものとなってきたとテクノロジー系サイトExtremeTechは分析しています。

 視野を広げると、現在世界的な半導体の供給不足に陥っており、日産、ホンダなどの日本車メーカー、フォルクスワーゲンなどが、半導体の調達不足で生産調整を余儀なくされています。これまでコンピュータやスマートフォン向けチップと自動車向けチップは異なるものでしたが、車載コンピュータの高度化で、状況が変化しつつあります。

 CESにあわせてメルセデスが披露した最上級電気自動車「EQS」向けのインフォテイメントシステムは、54インチのゴリラガラスと有機ELディスプレーを備え、AI学習が行える8コアプロセッサを搭載するなど、スマートフォン向けに似た半導体搭載に動いており、電気自動車のバッテリーも含めて、スマートフォンと競合する存在へと急速に変化しています。

 もうひとつの連載「“it”トレンド」でテスラを採り上げつつ、Apple Carの現実味について触れましたが、スマートフォンやコンピュータと自動車が接近していること自体は、事実と言えます。

 

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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