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次世代コンバージドアプライアンス「PowerProtect DPシリーズ」投入やソフトウェア機能強化

デル・テクノロジーズ、データ保護「PowerProtect」製品群を拡充

2020年12月11日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 デル・テクノロジーズは2020年12月9日、データ保護ソリューション「Dell EMC PowerProtect」のポートフォリオ拡張を発表した。新しいデータ保護コンバージドアプライアンスである「PowerProtect DP」シリーズの投入や、Kubernetesおよびクラウド環境のデータ保護機能を強化したデータ保護ソフトウェア「PowerProtect Data Manager」の最新版などを発表している。

デル・テクノロジーズがデータ保護ソリューション「Dell EMC PowerProtect」のポートフォリオを拡充

デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏、同社 DPS事業本部事業推進担当部長 シニア・ビジネス・ディベロップメントマネージャーの西頼大樹氏

次世代のデータ保護コンバージドアプライアンス「PowerProtect DPシリーズ」

 新製品のPowerProtect DPシリーズは、データ保護コンバージドアプライアンス(IDPA:Integrated Data Protection Appliance)の次世代モデルと位置づけられる製品。物理/仮想環境、クラウドといった幅広いワークロードに対応し、バックアップ/リカバリやレプリケーション、クラウドDR、パブリッククラウドへの長期保管(アーカイブ)など豊富な機能も備える。

 具体的には従来のIDPAシリーズを刷新し、ターンキー導入や幅広いワークロードへの対応、高い重複排除率といった特徴はそのままに、バックアップ/リカバリスピードや容量効率、消費電力を向上/改善している。バックアップは最大38%、リカバリは最大45%高速化し、また最大1PBの利用可能容量を実現している。

DPシリーズは、IDPAシリーズの特徴を引き継ぎつつ、性能と容量効率、消費電力を改善。物理/仮想/クラウド環境の幅広いワークロードに対応する

 デル・テクノロジーズ DPS事業本部事業推進担当部長 シニア・ビジネス・ディベロップメントマネージャーの西頼大樹氏は、IDPAシリーズの流れをくむDPシリーズについて、次のように説明する。

 「PowerProtect DPシリーズは、旧EMCが独自に展開していたIDPAシリーズの技術を継承し、デルのPowerEdgeやネットワーキングのテクノロジーを組み合わせて強化したもの。『PowerProtect Cyber Recovery』の機能をサポートし、『PowerProtect Data Manager』(データ保護ソフトウェア、後述)からのデータ格納をサポートすることで、次世代のニーズや課題にも対応できる」(西頼氏)

 DPシリーズでは同じ機能をもつ4つのモデルをラインアップしている。中小規模企業や拠点/エッジ環境向け「DP4400」(論理容量:8~96TB)、中規模エンタープライズ向け「DP5900」(同96~288TB)、大規模エンタープライズ向けの「DP8400」(同192~768TB)および「DP8900」(同576TB~1PB)という構成だ。

 価格は、DP4400の最小構成8TBモデルで350万円(税別)からとなっている。2020年12月15日から提供を開始する。

PowerProtect DPシリーズ。規模や要件に合わせ、同じ機能を持つ4つのモデルから選択ができる

データ保護ソフトウェアではKubernetesやクラウド環境への対応強化

 データ保護ソフトウェアであるPowerProtect Data Managerでは、最新版アップデート(バージョン19.6)において、Kubernetesおよびクラウド環境のデータ保護を強化している。

最新版PowerProtect Data Managerにおける機能強化ポイント

 まずはマルチクラウドへのデータ保護対応だ。Data Managerの保護対象としてMicrosoft AzureやAWSのクラウド内ワークロードまで拡張し、柔軟性を高めた。またヴイエムウェアとの共同開発を通じて「VMware Tanzu」もサポートし、モダンアプリケーションの保護を促進している。「VMware vCenter Storage Policy Based Management」とのネイティブな統合も図り、ポリシーベースでの仮想マシン保護も実現する。

 またKubernetes環境では、「PostgreSQL」や「Apache Cassandra」といったオープンソース データベースを含むコンテナ化したモダンアプリケーションを、エージェントレスで、かつアプリケーション整合性を担保したかたちで包括的に保護するという。パブリッククラウドで提供される「Amazon Elastic Kubernetes Service(EKS)」や「Azure Kubernetes Service(AKS)」の保護にも対応している。

 なお、新しいイメージバックアップ機能「Transparent Snapshot」も搭載している(テクノロジープレビュー)。これは、Storage Data Moverによってスナップショットデータを直接、PowerProtectアプライアンスに転送するかたちで効率的に保護する仕組み。バックアップ処理や転送処理の負荷が高く、従来はバックアップできなかった“モンスターVM”クラスの仮想マシンでも、サービスに影響を与えることなく容易に保護できるとしている。

巨大な仮想マシンのバックアップも可能にする新手法「Transparent Snapshot」

 また、サイバーレジリエンシー(サイバー攻撃後の回復力)を強化するソリューション「PowerProtect Cyber Recovery」が、米国金融業界の非営利団体であるシェルタード・ハーバー(Sheltered Harbour)によって、初のオンプレミスターンキー型データ隔離ソリューションに認定されたことも発表している。

 PowerProtect Cyber Recovery は、ランサムウェアから内部攻撃に至るまでのサイバー脅威から企業を保護するソリューションで、分析機能や機械学習機能によるデータの整合性監視、フォレンジックツールによる攻撃の発見や診断、修復機能も提供する。

デル・テクノロジーズが目指すコアバリューは「2つのS」と「ABCD」

 デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長の芳澤邦彦氏は、同社のデータ保護事業の基本戦略について説明した。芳澤氏は、同社が長年リーダーとして取り組んできた実証済みで信頼性の高いテクノロジーと、これから必要とされる最先端テクノロジーを両立させていくのが基本戦略だとしたうえで、「目指すコアバリューは『2つのS』と『ABCD』」だと述べる。

「実証済みテクノロジー」と「最新鋭テクノロジー」の組み合わせが基本戦略

 まず「2つのS」とは「Simpble Architecture」と「Single Platform」という基本コンセプトであり、これにより最小限の導入コスト、最小限の運用コストを実現する。また「ABCD」はデータ復旧ソリューション提供において重視する用途であり、具体的にはアプリケーション開発者が必要とするデータ保護/リカバリを考えた「Application Centric Recovery」、データが損失した場合でも必ずバックアップから戻せる「Backup and Recovery」、サイバー攻撃を受けてもデータ損失がない基盤を実現する「Cyber Recovery」、災害時などの有事においても確実に事業継続できる「Disaster Recovery」の4つを指す。

 国内と海外におけるデータ保護の課題についても指摘した。グローバル調査では、マルチクラウドにデプロイした際のデータ保護に課題を持つ企業が94%、コンテナ環境に対する適切なデータ保護手段を見いだせていない企業が48%、サイバー攻撃に起因したデータアクセス阻害を経験している企業が39%という結果が出ている。

 「一方で日本の企業では、多くの企業がクラウドのデータ保護をクラウド事業者に任せている実態がある。また、サイバー攻撃によるインシデントが日本でも増加しており、継続性の面で復旧機能の必要性が高まっている。さらに、複雑なシステムを運用していることが多く、データ保護運用負荷の大幅な改善が必要であったり、ニューノーマル時代の新たな働き方が広がるなかで、リモートワーク環境でのデータ保護が重視されたりといった傾向が、日本の企業で見られる」(芳澤氏)

国内と海外に見るデータ保護の課題

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