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山梨県内の次世代エネルギー関連施設たち

水素エネルギー先進県 山梨で世界最大級の次世代エネルギー研究施設を見た

2020年12月09日 11時00分更新

文● 貝塚/ASCII

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水素供給利用技術協会 水素技術センターの蓄圧機

山梨は次世代エネルギー先進県だった

 さて、ここまでにまとめた内容は、先日開催された、水素をテーマとしたプレスツアーで記者に披露されたものだ。

 ツアー終盤では、県内にある水素・次世代エネルギー関連施設の様子も見学できた。

 45社、2団体が参加する一般社団法人 水素供給利用技術協会(HySUT)は、燃料電池自動車などの移動用水素供給インフラに関わる業界団体。

 現在は技術開発拠点として水素技術センターを構え、NEDOプロジェクトとして、普及期に向けた研究開発を進めるほか、商用水素ステーションの需要創出活動、広報活動や展示会への参加も行っている。

 身近なところでは、Dr.Driveセルフ神の倉店の「神の倉水素ステーション」とDr.Driveセルフ海老名中央店の「海老名中央水素ステーション」に加え、とよたエコフルタウンの水素ステーションの3つの水素ステーションは、NEDOとの実証実験を経て、2011年に商用モデルステーションとして建設された経緯がある。

このノズルを使って、燃料電池自動車に水素を充填できる。一見するとガソリンスタンドのようだ

 水素技術センターには、水素の受入設備、圧縮機、蓄圧機、ディスペンサーを備えられ、大量の水素を備蓄できる。特に蓄圧器に関しては、87.5Mpaの常用圧力で300L×6本+200L×1本を蓄えることができる。87.5Mpaという圧力は、国際基準の充填最高圧力であり、国内の商用ステーションでは実現不可能なレベルなのだという。

 水素技術センターのほど近くには、県営の次世代エネルギー啓発施設「ゆめソーラー館やまなし」と、山梨県と東京電力が共同で設立した「米倉山太陽光発電所」もある。

 米倉山太陽光発電所は、「メガソーラー時代の先駆け」をうたい、まだ1万kWクラスのソーラーパネルが国内には存在しなかった平成21年に建設され、平成24年から運転されている。山梨県が用地を提供し、整備した敷地に、東京電力が発電所を建設し、保守運転を行っている。

米倉山太陽光発電所のソーラーパネル。山の斜面に巨大なソーラーパネルが広がる

 発生電力量は1年で1200万kWhにものぼり、そのCO2削減効果は、年間で5100トンにもなるという。平成27年からは、蓄電システムも増やし、電力を水素に変換する蓄電システムの実証実験なども実施している。

水素社会の構築に向けて期待される「P2Gシステム」は、大規模な水電解装置で水素を製造する=電力を水素に変換する

 山梨県は、甲府市など県央部の都市部を中心とした甲府盆地を、山岳地形が取り囲むという地形を持っている。この地形を生かし、かなり早い段階から次世代エネルギーの研究に力を入れていたことの表れと言えるだろう。

県営施設のゆめソーラー館やまなしは、次世代エネルギーの情報発信拠点として活用されている

 一日をかけて山梨県内の水素・次世代エネルギー関連施設を見学させてもらったことで、研究、開発、運用、商用化など、水素・次世代エネルギーの社会実装に、産学・官民が一体となって取り組んでいる姿勢を肌で感じることができた。

 最近になって、菅 義偉総理大臣が「2050年カーボンニュートラル(脱炭素)」の目標を公言し、具体的な政策案を公表したこともあり、今後も、国内での水素分野の成長は見込まれる。将来、水素社会が実現したときに、山梨県がそのインフラの運営に大きく貢献し、水素関連の有力企業を多数擁しているはずだ。

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