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LINE WORKSプロダクト担当インタビュー<最終回>

LINE WORKSはこれからもユーザーの声に正面から向き合っていく

2020年12月21日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 ワークスモバイルジャパンのプロダクト担当者にLINE WORKS(ラインワークス)の設計思想やこだわりについて聞くインタビューの第3回。前回はシステム管理者がいないユーザー企業を前提としたサービス開発がテーマだったが、最終回となる今回はユーザーの声に向き合ったサービス開発の実態や今後の方向性について聞く。(インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ 以下、敬称略)

ワークスモバイルジャパン 事業企画本部 プロダクトマーケティング プロダクトマーケティングスペシャリスト 田記由季子氏

作り手が考えるLINE WORKSの活用法

オオタニ:LINE WORKSって情報共有という目的のためにトークやノート、ホームのようないろいろな機能がありますよね。これって作り手からすると、どのような使い方を想定しているのでしょうか?

田記:LINE WORKSは事務所の中の道具がまったくIT化していないというユーザーに使ってもらえるようイメージしています。そういった観点で考えると、「ノート」は組織の最小単位であるチームで使う回覧板のような使い方を想定しています。対象となるチームに限定して、内容についてチェックをしてもらうといった用途ですね。

「ホーム」もノートと同じような用途で使えますが、こちらは経営や総務から発信される情報を掲出するホワイトボードや掲示板といった用途を想定しています。伝達範囲はもっと広くて、社員全体に発信したいことを書くのに向いています。

一柳:カレンダーは僕らも悩んでいるところです。というのも、ユーザーに聞くと、ものすごく利用の幅が広いからです。ITが強い人であればさまざまなサービスから好みのものを選んで使うと思うんですが、特定のカレンダーアプリを愛着を持って長く使い続けている方も多いですし、事務所に張ってある紙を使っていたり、手帳が好きという方もいます。しかも各サービスで微妙に使い方が違うので、最適なカレンダーとはなにか探し続けています。

オオタニ:一般的には、組織用と個人用が用意されている感じですが、これだけだとカバーできないこともけっこうありますよね。

一柳:カレンダーって複数を使い分けるパターンもあるなと思っていて、LINE WORKSのカレンダーは個人の予定を公開しあうこともできますが、用途別でも作れます。たとえば設備用のカレンダーとか、面談予約のカレンダーとか、共有カレンダーをいくつも作っておいて、必要な人とシェアしながら考えることが可能です。

個人的にオススメしているのは、To Doやタスク管理のために個人用カレンダーを作っておいて、想定される作業時間をそこに入れておくことです。他のユーザーからは見えないけど、自分ではその日の作業量を把握できるのでけっこう便利かなあと思っています。オオタニさんはなにをお使いですか?

オオタニ:わりと古くからGoogleカレンダーですね。

一柳:やはり。Googleカレンダーと同期したいというニーズがやはり強いので、いずれ取り組んでいきたいなとは思います。

オオタニ:あと、LINE WORKSはモバイル版、ブラウザ版、PCアプリ版がありますが、使い分けは意識されていますか?

一柳:どれを使ってもあまり機能差が出ないように意識しています。ただ、グラフで見てみると、LINE WORKSはモバイルアプリの利用比率がとても高いんですよね。PCを使っているのは、おそらく管理部門などの一部。ここまでスマホでの利用比率が高いB2Bのクラウドは珍しいと思います。「モバイルを使っている人もいる」じゃなくて、「PCで使っている人もいる」なのが、LINE WORKSユーザーの現状です。

APIを公開したけど、最初は連携も作ってもらえなかった

オオタニ:他社サービスとの連携やつなぎ込みについても教えてください。

一柳:最初はAPIを公開するので、みなさん連携作ってくださいというスタンスでした。でも、そもそもユーザーはITに慣れていない方々だったので、作れなかったんです。次にサンプルBotを作ったのですが、思ったようには開発者は増えませんでした。今から考えればこれは失敗談かもしれません(笑)。

ワークスモバイルジャパン 事業企画本部 プロダクトマーケティング シニアプロダクトマーケティングマネージャー 一柳圭吾氏

オオタニ:ドキュメントやサンプルもそれなりにあるし、LWUG(えるわぐ:LINE WORKS USER GROUP)のようなユーザーコミュニティもあるので、わりと手厚いと思いますが。

一柳:もちろんLWUGに積極的に参加して、能動的に情報を収集してくれる人もいるのですが、必要な情報に行き着けない人もいます。だから、アプリ内でいかに情報を提供するかがこれからの課題ですね。

ただ、最近はパートナーと連携して、積極的に作ってもらうためのエコシステムも重視しています。先日発表したAmazon Businessとの連携Botのように、公式Botを提供していく必要もあるのかなと思っています。作ってみたいけど、わからないという方も多いので、ある程度は私たちから提供していくという方向性です。

オオタニ:LINE WORKSの画面から紙や消耗品を購入できるAmazon Business連携は面白いですよね。

一柳:はい。ああいった連携はどんどん拡充していきたいと思います。私たちだけで全部をカバーするのは難しいので、エコシステムづくりに注力していく動きを考えています

オオタニ:あとはユーザーがそれを望んでいるかという話ですよね。餅は餅屋でいろいろな連携が増えて、ユーザーとしては時間や手間の短縮ができればいいわけで。

一柳:おっしゃる通りですね。

まずは5人でチームを作り、初期設定を済ませられる導入体験を

オオタニ:お話を聞くと、「ユーザーの声にお答えして」というフレーズがすごく多いのですが、やはりそこは意識しているところなんですね。

一柳:ユーザー要望に真剣に向き合っているサービスだとは思います。実装の6割以上はユーザーの要望を分析した結果から出てきたものです。だから、これからもユーザーの声を元に機能強化を図っていきます。

たとえば、ビデオ会議の音質や映像の品質を上げてほしいという声は、今年に入ってから特に多くいただいていますし、流れてしまうトーク内容をメモしておきたいみたいな要望はつねにあるので、ここらへんも対応していきたいなあと。

オオタニ:最後にLINE WORKSの今後の方向性についてお聞かせください。

一柳:情報は共有したほうがメリットがあることを見せられるツールにしていきたいです。たとえば、予定もお客さまも手帳の中に忍ばせている方も多いと思います。でも、はじめから取引先の連絡先や業務予定をうまく共有しながら、チームの仕事がしやすくなる体験を作っていきたい。そのためになにができるかが大きなテーマです。

田記:IT管理者がいない環境でLINE WORKSを使い始めるときに、オンボーディングでつまずいてしまう方が多いというのは、これまでのサーベイでも明らかになっています。だから、新規ユーザーを増やしていくために、いかにつまずかない設計をするかが鍵になります。

たとえ個人でアカウントを作っても、組織としてメンバーを増やさないと、“ひとりテナント”で終わってしまいます。せっかくCMで興味を持っていただいても、これでは意味がありません。5人で始めるキャンペーンもやっていますが、実際、まずは5人招待してもらえば、最小限のチーム単位でLINE WORKSでの仕事が進むはず。だから、とにかく1人ではなく5人は追加した状態で、一通りの初期設定を済ませてもらうために、アナウンスやガイド、画面遷移、UI/UXを最適化していくのが直近の課題だと思っています。

オオタニ:お二人が考えるLINE WORKSのゴールってなんでしょうか?

一柳:これは立ち上げ当時から考えていることですが、やっぱり「大変なことを手軽にしたい」という思いです。単純に「仕事が楽になったなあ」と感じていただくだけではなく、ユーザーが抱えている「仕事の大変さ」を少しでもやわらげたい。LINE WORKSがあったから、もっと気軽にやりとりできるようになったというツールでありたいです。

田記:私も同じですね。前職では、セキュリティ系のフィルタリングサービスを企画する立場にいたのですが、情シスの人たちにはサービスを喜んでもらえるんですけど、社員からすると監視されている印象があるので、正直あまり好まれない。インシデントを管理する立場からすると「必要悪なソフト」だったのですが、使ってもらっているユーザーをハッピーにするわけではないという意味ではジレンマがありました。その点、現場のユーザーをハッピーにできるというLINE WORKSのゴールは、自分の中でも共感しています。

導入してもらうことで、ユーザーがハッピーになる、使うことで仕事が楽になったと思ってもらうことが、われわれのゴールです。
 

LINE WORKS テレビCM 「LINE WORKSで現場が動き出す」 建設篇

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