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独自CPU「M1」で処理性能&バッテリー駆動時間が大幅向上 新Mac特集 第13回

【M1版MacBook Proレビュー】率直に驚いたパフォーマンスと完成度

2020年11月17日 23時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●飯島恵里子

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高速なだけでなく「快適」であることが重要

 もう一つ重要なのは、これだけの性能差があるにも関わらず、「静かである」ということだ。インテル版のMacは意外とすぐにファンが回る。ビデオ編集やゲームはもちろんだが、ちょっとビデオ会議をやる程度でもファンが盛大に回る。

 それに対してM1版は、動作がずっと静かだ。ファンが改善され、音が静かになっていることもあるのだろうが、そもそも、負荷が高い状態になかなかならない。これは精神衛生上かなり良い。

 そして、消費電力も低い。

 ウェブを見つつ、文書をクラウドストレージに同期し、Microsoft Wordを立ち上げて文章を書くという作業を3時間続けてみたが、バッテリーは21%の減少だった。ここから計算すると、同じ作業は14時間続けられることになる。

 インテル版では、同じ作業で45%が減っていた。バッテリー動作時間は7時間、というところだろうか。そう考えると、インテル版とM1版では、同じ重さ・同じ大きさの製品で、動作可能時間はほぼ倍に伸びている計算である。これは、アップルの謳い文句通りである。

想像以上の完成度、気になるのは「Air」との速度差

 正直なところ、ここまでM1版が最初からパフォーマンスを出してくるとは思わなかった。実際には「自分にとって必須のアプリ」の動作状況を確認していただく必要があるが、「いきなりM1版を選んでも問題は少ない」と思う。

 ポイントは、ここまでのテストが「メインメモリー8GBのモデルで動いている」という点だ。これでも、少なくとも16GBのメモリーを積んだインテル版MacBook Proより遅い、と感じるシーンはなかった。タブを20〜30枚開いたウェブブラウザーを見ながら画像を整理する、という作業しても、である。

 もちろん、大容量のメモリーが重要なシーンは多々あり時間の関係もあって、そこが完全に検証し切れていない部分はある。しかし少なくとも、「13インチMacBook Proに求められる作業」の範囲では8GBのメモリーで不足だとは思えなかったし、ビデオ編集レベルでも、特に重いとは思えなかった。むしろ心配になったのはストレージ容量の方だろうか。

M1版にはインテル版MacBook Pro・上位モデルと違い、右側にはThunderboltポートがない

 個人的には「Thunderboltポートが2つ」というのが意外に不便で、やはりMacBook Proなら4つ欲しい。最大ストレージ容量が2TBであることに加え、現状での制限ともいえそうだ。

 あとは現状、インテル版 Macの必然性は「仮想環境上でWindowsやLinuxなどを使う必要があるか」という点に絞られた感がある。

 M1よりもパフォーマンスが高い製品を作るには、GPUも含め、アーキテクチャを多少変えないといけない部分がある。そこで「M1の拡大版」を作るのか、M1を複数使うアプローチなのか、それはわからない。どちらにしても、パフォーマンスへのアプローチにはまだ不安が残る。しかし、少なくとも「互換性」「インテル版と同等以上の速度」「インテル版よりも長いバッテリー動作時間」は期待してもいいのではないだろうか。

 むしろ、MacBook Proを触っていて気になったのは、「MacBook Airがどうなっているのか」だ。同じM1を搭載したMacBook Airは、インテル版のMacBook Airに比べて劇的に性能アップしていると推定できる。ファンがないので限界性能ではMacBook Proの方が上の「はず」だが、果たして実効ではどのくらいの差があるのか……?

 そこは、M1版Airを試せた時に改めて確認したい。

 

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