「牛チゲカルビ焼肉膳(ライス、生玉子/半熟玉子)」
松屋
790円
https://www.matsuyafoods.co.jp/matsuya/news_lp/201110.html
肉を増やすというシンプルなパワーアップ
16連射で知られる高橋名人がハドソンに務めていた頃、任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」を初めて見たときに、スーパーキノコを取ってパワーアップする際の「マリオが大きくなる」という表現に対して、とても感心したといいます。
色が変わるとか、攻撃方法が変わるとかではなくて、大きくなる。これは「パワーアップしたぞ」という説明として、シンプルでわかりやすい、というわけです。
さて、「松屋」の新メニュー「牛キムチチゲ膳」です。11月10日に発売されました。
毎年恒例のキムチチゲですが、今年は肉を昨年比1.8倍増量。マリオは大きくなりましたが、松屋は多くなりました。牛めし並盛と同量の牛肉で、富士山の麓で作った自社製の「やわらか富士山豆腐」と「コク旨富士山キムチ」も使用。さらに、魚介の旨み、コチュジャンなどの辛味も加わったとうたいます。
また、「牛カルビ」がセットになった「牛チゲカルビ焼肉膳」も同時発売。
発売を記念し、牛キムチチゲ膳と牛チゲカルビ焼肉膳を注文すると11月24日10時までライス大盛を無料サービス。「牛キムチチゲ」単品は420円です。
せっかくなので、牛チゲカルビ焼肉膳にしました。790円です。1243kcalというわんぱくボリューム。今年はシンプルに肉を増やしたというわけで、実にわかりやすい力強さです。それが吉と出るのか、凶と出るのか? そのあたりをチェックしてみましょう。
味の基本は変わらないが肉増量の効果は大きい
肝心の味ですが、いきなりですけれども、自分は松屋のチゲをあまり高く評価していません。どうも毎年、コクがない印象がある。キムチの素に具材を入れて煮込んだような味です。水っぽい、といいますか。旨味が足りない、ともいえましょう。
今年は微妙に改善傾向が見られ、魚介の味が、以前よりも際立っていると感じました。ただ、コクが増したというよりは、相変わらず味が濃いといったところです。まだ、辛旨というより塩辛い。そこは残念です。
しかし、牛肉の量が昨年比1.8倍なのはダテではありません。「思っていたより」ずっと多い。写真で見ると「それほどかしら」と思うかも知れませんが、箸やスプーンを入れるたびに「まだあるんかい」と感じるぐらいのボリュームです。普通の牛めし並盛と同量だそうですが、偽りなし、という印象を受けました。
チゲの完成度にはやや不満があるものの、なにしろ牛肉が多いので、味が濃くてもまあ許せるかな……という範疇になっています。肉が多い分だけ、味付けの濃さにも必然性が出てくるというか、すくなくとも白米が進む汁物になっている点に関しては、評価してもよいかなと。
カルビも足すことで牛肉だらけになる
セットにした牛カルビは、いつものカルビ焼肉定食のそれです。ごはんとはともかく、チゲと相性がよいとも悪いとも言いにくいところですが、とにかくチゲにも肉がたくさん入っているので、ずいぶんと牛肉を食べたという気がします。
カルビをおかずにすることでごはんは進むものの、味の濃いチゲもあるので、うまく配分を考えないと難しいかもしれません。
変な言い方かもしれませんが、カルビにタレなどを付けず、チゲと一緒に食べるようなペースで組み立ててもよいかもしれない。チゲの辛さをカルビにも活かすわけです。口の中が一気に肉だらけになりますが、それも魅力でしょう。
ちなみに、トッピングに生玉子か半熟玉子が付きます。ごはんにかけるか、タレと絡めて焼肉をかきこむのに使うのが良策でしょう。チゲに入れるのであれば、生玉子のほうがよいかもしれませんが、くどいようですがチゲの味が濃いので、あまり活きてこないかも。好き好きですね。
ちなみに昨年の「チゲ牛カルビ焼肉膳」は730円なので、60円の値上げになっています。とはいえ、牛肉が増えているわけですから、それ自体にさほど文句はありませんね。
松屋の汁物は、コクや旨味がなく、どうにも塩辛い印象がある。今回のチゲもその傾向があり、大きく改善されているわけではないのですが、とにかく牛肉がいっぱいあるので、ちょっと許してしまえるのですね。チゲの完成度にはやや不満がありますが、肉の量には肯定的。そんな感じでしょうか。
そんな現金な……と自分でも思わなくはないけれど、量が多いというのはやはり正義だなと思うわけです。多めの白米を味の濃いチゲでわしわしとかき込んで、寒い冬には温まりたい、というときにはよいかと感じました。
モーダル小嶋
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。編集部では若手ともベテランともいえない微妙な位置。一人めし連載「モーダル小嶋のTOKYO男子めし」もよろしくお願い申し上げます。
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