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グローバル調査からCX成熟度とビジネス成長の相関性を指摘

“顧客体験=CXチャンピオン企業”になるには? 5つのコツをZendeskが解説

2020年11月09日 08時00分更新

文● 五味明子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 カスタマーサポートサービスを提供するZendeskは2020年10月28日、「CXチャンピオンになるための5つのコツ(5 Tips to be a CX Champion)」と題した報道陣向けのラウンドテーブルを開催した。同社が10月初旬に発表したカスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験)に関する調査レポート「CXチャンピオン:すぐれたCXリーダーに学ぶビジネス成功の秘訣」の結果から見えてきた、CXのトレンドを日本企業向けに解説したもの。

 Zendesk 製品担当プレジデント エイドリアン・マクダーモット氏は、「カスタマーエクスペリエンスに投資する日本企業はまだわずかだが、だからこそ日本市場の潜在的な伸びしろは大きい」と語る。本稿ではマクダーモット氏のプレゼン内容をもとに、日本企業がコロナ禍のなかで“CXチャンピオン”になるための「5つのポイント」を紹介する。

Zendesk 製品担当プレジデントのエイドリアン・マクダーモット(Adrian McDermott)氏

企業が最良の顧客体験(CX)を提供できる“CXチャンピオン”になるための「5つのコツ」について説明した

CXの成熟度とビジネス成長には大きな関連性がある

 今回の調査は、市場調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)がZendeskの依頼により、カスタマーサービスの運用や改善に関する意思決定権保有者(CXマネージャおよびリーダー)1000人以上を対象に、2020年7月14日~8月5日にかけて実施したもの。調査対象となった企業は北米256社、欧州250社、アジア250社、ラテンアメリカ256社で、企業規模別に見ると従業員100人未満の小規模企業500社、100~999人の中規模企業255社、1000人以上の大規模企業257社となる。

 ESGでは「カスタマーエクスペリエンスの成熟度評価(CX Maturity Scale)」を策定し、カスタマーエクスペリエンスにおける7つの特性をもとに、企業のCX成熟度を以下の3つのレベルに分類している。

・スターター(Starter) … 0~3つの特性に該当する企業
・ライザー(Riser) … 4~5つの特性に該当する企業
・チャンピオン(Champion) … 6つ以上の特性に該当する企業

 調査の結果、CX成熟度が最も高い“CXチャンピオン”に位置づけられる企業の割合は全体の24%に過ぎず、大部分の企業はCX成熟度の初期段階(スターター42%、ライザー33%)にあることが判明している。

CXチャンピオンの比率は全体の24%ほどで、大多数の企業はCX成熟度の初期段階にいる。CXチャンピオンはパンデミック禍でも大きな成長を続けており、CX成熟度とビジネスとの相関性は高い

 本調査ではまず、「CXレベルの成熟度とビジネスの成長には大きな関連性がある」ことを指摘し、とくに現在のコロナ禍のような困難な状況下ではその傾向が顕著にあらわれるとしている。たとえば「顧客支出額の伸び率」を見ると、大企業層のCXチャンピオンはスターターやライザーと比べて8.7倍、小規模企業層のCXチャンピオンに至っては9.2倍の伸び率を示しているという。

 また、コロナ禍で日本を含む世界中の企業が向き合うことになったリモートワークへの移行に関しても、CXチャンピオン企業はスターターやライザーと比較して、中堅~大企業で4.9倍、小規模企業で7.8倍も高い割合で効率的に移行できているという結果もでている。これは単にオフィスに出勤しなくなっただけではなく、従業員がリモートワークに移行しても従前と変わりなく顧客サポートを行えていることを意味している。

 こうしてCX=顧客体験の向上にフォーカスし続けている企業は、高いレベルのCXを維持するためにテクノロジなどへの投資を継続しており、社会や企業を取り巻く状況の変化、顧客ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応できている傾向が強い。現下のパンデミックのように刻一刻と状況が変化し、先が見えない時代にあっては、CXチャンピオン企業が備えるアジリティはビジネスを成長させる大きな強みとなるのだ。

 なお、本調査における日本企業のCX成熟度について、マクダーモット氏は以下のように説明している。

・カスタマーサービスやサポートチームが競争上の差別化要因となっている企業は7%
・過去6カ月間に市場シェアが拡大した企業は14%で、過去6カ月間に顧客ひとりあたりの支出額が大幅に増加した企業は2%
・エージェントの効率性を「高い」と評価した日本企業は14%(オーストラリア58%、インド49%、シンガポール25%)
・リモートワークへの移行が非常にスムースに進んだと回答した企業は10%
・今後12カ月間に自社のCXへの投資が大幅に増加すると回答した企業は5%

 数字を見る限り、日本企業の多くがCX向上に関して十分な施策を打てていないことは明らかだ。ただし、その一方でマクダーモット氏は「(日本市場は)CX領域に大きな潜在的可能性があることが明らかになった」ともコメントしており、現時点ではCX成熟度が低くても、日本市場には大きな“伸びしろ”があると分析している。

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