名店で修業した成果は「奇をてらわない、でもどれを食べても間違いない」ラーメン Tombo(東京・吉祥寺)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第31回
2020年10月19日 12時00分更新
今回オスス麺は、吉祥寺駅から少し離れた井の頭通り沿いにある「Tombo」。
最寄り駅が吉祥寺駅も井の頭公園駅からも離れていて、吉祥寺駅からずんずん歩いて「もしかして通りすぎちゃったかな?」と心配になるくらい歩いた絶妙な距離にあります。
お世辞にもアクセスが良いとは言えない立地にありながらも、ここのラーメンを食べたいという沢山のお客さんに愛されて、行列のできるお店となっています。
ご主人は、伝説のお店「地雷源(閉店)」や「さいころ」など地雷源グループで8年間に渡りラーメンを学んだ後に独立し、2017年9月2日この吉祥寺に「Tombo」をオープンさせました。
「Tombo」という店名は、長渕剛の曲「とんぼ」と、「蜻蛉」による不退転の精神から取ったものとの話。
「地雷源」グループの頃から創作意欲が高く、何度か試食させてもらう事もありました。
奇をてらわず、主張したいものを明確に、丁寧な仕事で丁寧な味わいのラーメンを作るといったイメージで、新しく自分のお店を持つと言った時にどういうものをメインに持ってくるのかな?と楽しみにしていました。
そして完成したラーメンは、「地雷源」の遺伝子をしっかりと引き継ぎ、「地雷源」の味の感動を再び味わえるようなものでした。
「醤油の旨味ソバ」は、豚骨や丸鶏等の動物系に魚介を合わせた清湯系醤油味のスープ。それぞれの味わいをしっかり感じさせながらも出しゃばらず、風味高い醤油を上手く活かした味わいとなっていて、焦がしネギが絶妙なアクセントとなっています。言葉では伝えられないような、とにかく食べて欲しいと思う最高のバランスを持った一杯。
「汐の旨味ソバ」は、ベースのスープが醤油と同じというのが信じられないくらいに印象は大きく変わり、鶏の味わいが強く感じられる力強さのある出汁感と円やかな塩が合わさった一杯。
清湯系の塩というと“あっさり”を連想するけれど、それとは違った出汁の濃厚感を楽します。
麺は、三河屋製麺特注の細ストレート。
人によっては「柔らかい」と感じるかもしれないソフトタッチな麺ですが、この絶妙な加減がモッチリした食感やしなやかな啜り心地を生み出していて、啜る度に口の中いっぱいに広がるスープの味と風味を楽しませてくれるものとなっています。
チャーシューは、最近良くある真空低温調理のものにはしたくないと拘りを持ったもので、香ばしい風味にトロッとした柔らかさとしっかりした肉の旨味が感じられる煮豚タイプのバラ肉。
私自身、真空低温調理のチャーシューのビジュアルは好きですが、味に関して言えば圧倒的に煮豚や焼豚の方が好きなので、こういうスタイルは凄く嬉しいです。
「醤油のつけソバ」は、芳醇に広がる出汁の風味と旨味に、ブラックペッパーの刺激や酸味を穏やかで主張し過ぎ無い程度に効かせたもの。全体の調和が取れた懐かしくも新しい味わいのつけ汁を、出汁に浸かったしなやかな細麺でいただく絶品つけ麺!
「まぜソバ」は、一般的なまぜそばの持つ“重い”イメージを覆すような軽やかなもの。鶏感や煮干感を感じさせながらも、ふっと抜けていくスッキリさで、濃厚なコクがありながらも非常に食べやすい一杯。
昨年の夏いただいた限定の「冷やしらぁ麺(醤油)」は、鰹がふんわりと薫る和風な味わいで、優しくもしっかりと感じられる出汁感にやわらかな醤油ダレがバランス良く合わさった完成度の高い一杯。今まで色々なお店で冷やしラーメンを食べてきましたが、その中でもトップクラスの美味しさでした。
流行りに流されず、培ってきた経験や技術を活かし、自分の美味しいと思うものを提供している事が味にしっかりと反映されているので、どのメニューを食べても間違いない味わいを楽しめ、奇をてらわないので老若男女問わずに美味しく食べられるオススメのお店です。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策により、営業日・営業時間・営業形態などが変更になる場合があります。詳しくはお店の公式サイト(https://twitter.com/TomboUP)をご確認ください。
ZATSU
2006年に開設したブログ「ZATSUのラーメン」の管理人。武蔵野・多摩地区を中心にしたラーメン食べ歩きを始めて15年以上。現在は年間400〜500杯程度を食べ、新店コレクターでありながらも老舗店やリピートするお店も多数あり。チェーン店からファミレス、カップ麺までも愛する真性の「ラーメン好き」で、基本的に何でも美味しく食べられる幸せ者。「自分の好みのラーメンを見つけて欲しい」と言う思いをモットーに色々なラーメンを紹介していきます。
本人ブログ(http://blog.livedoor.jp/zatsu_ke/)
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