Roborock S6 MaxV
実売価格 8万7780円
プラススタイル
https://www.roborock.jp/pages/roborock-s6maxv
ソフトバンクグループのプラススタイルが9月11日に発売した「Roborock S6 MaxV」は、北京生まれのRoborock社が開発したロボット掃除機。前方に搭載した二眼カメラで物体を立体的にとらえ、ケーブル類やスリッパなどの障害物を認識。必要に応じて障害物を回避しながら、レーザーセンサーで正確にマッピングした室内を効率的に掃除することができます。レーザーは段差で入れないエリアまで正確なマップを作るのが面白いですね。走行ルートをマップに表示するのも他所のロボットにはない機能で、自信がうかがえます。
●実際の認識率はまちまち
実際の認識率は物体の種類によってまちまちです。認識率が高かったのはスリッパと電源類。特にケーブル類は認識精度が高く、車輪に絡まることが一度もなく感心しました。誤って自分でケーブルを動かして袋小路に閉じこめられてしまったことがあり、頭が良すぎるのも考えものだなと感じましたが。扇風機の台座は「その他の障害物」と認識。基本的には幅5cm、高さ3cm以上の物体を「その他」ととらえるようになっています。ただしプラレールなど子どものおもちゃは認識ができず、ゴリゴリと踏み越えていきました。仕様によればペットのふんも認識して回避するようです。うちにはペットがいないので試せませんでしたが、認識できなかったときが若干怖いです。
こうした機械学習系の処理ができるようになったのは、前機種より50%性能がいいクアルコムのAPQ8053をCPUに積んでいるためということ。最新チップを積んだスマホのカメラが機械学習によるAFや高倍率のデジタルズーム機能をつけているのと同じ理屈ですね。
競合を見ると、たとえばパナソニックのRuloもレーザーセンサーで障害物をよける仕組みを備えています。やはり背の低いおもちゃは認識できませんが、ルームシューズなどはもちろんカーテンやタオルなどもよけていく精度の高さを発揮します。ルンバにも最近カメラセンサーでソファやダイニングテーブルなどの家具を認識する機能がつきました。上位機種「i7+」はなかなか認識してくれませんでしたが、物体認識は今後のデファクトになりそうです。
●ラジコンのように外から動かせる
アプリを使えば、外からWi-Fi経由でRoborock S6 MaxVを動かし、カメラの映像を見ることもできます。さながら動く防犯カメラ。赤外線補助ライトつきなので暗闇も撮影可能。旅行に出かけたとき約70km離れた自宅にあるRoborock S6 MaxVを起動してみましたが、夜のキッチンをロボット目線で動きまわるのは思わずゾッとするほど未来を感じました。プライバシー保護のため映像は即消去するしくみになっていますが、ルーターのパスワードは破られないようにしたいです。
アプリに話しかけるとロボットから音声が出るという風変わりな機能もあります。ペットと暮らす家を想定しているようなのですが、黒い円形の物体から飼い主の声で呼びかけられたペットはどんな気持ちになるのでしょうか。
アプリでは掃除するエリアの指定が可能。侵入禁止エリアや、水ぶき禁止エリアを作ったり、逆にエリアを指定した掃除も可能。掃除する部屋の順番を指定することも可能。吸引力や、水ぶきをするときの水量も変更可能。複数フロアのマップを保存することもできて、二階建て以上の家でも便利に使えます。Roborockはこのアプリの完成度が非常に高いのが特徴で、ルンバを始めとした他所のロボット掃除機のアプリにできることはすべてふまえ、その上を行っている印象があります。
●運転音は意外と静か
掃除性能も充実しています。吸引力は従来比で向上。ブラシはゴムと毛の組み合わせになっていて、毛やホコリを強くかきとれます。アプリからカーペットモードをオンにしておくと、カーペットで吸引力を高めるブースト機能が使えるようになります。その割に運転音はおさえめで、在宅中に運転しても気になりません。ルンバはそれなりに運転音が大きいです。水ぶき機能はシンプルなモップがけ。モップに洗剤がついていたり、タンクに洗剤を入れる機能はないので、自分で床に洗剤をシュッとする必要はありますが。モップモジュールはジャブジャブ水洗いしてくりかえし使えます。
サイズはルンバと同等の幅353mm。レーザーセンサーがついているぶん高さは約96.5mmとややでっぱっています(ルンバi7+は本体高さ92mm)。
ダスト容器の容量は0.46リットル。容器とフィルターは水洗い可能。もちろん水ぶき用のタンクも洗えます。
●SF好きなら迷わず試して
今回はアップデートのタイミングが合わず試せませんでしたが、操作時音声を8種類から選べる機能も搭載します。音声は各地の方言、アニメ声、男性執事の声など。音声にこだわるロボット機能といえばシャープだったので、かなりニッチなところで対抗してきたなと感じます。
高性能CPU、レーザーとカメラのWセンサー、機械学習に物体認識、アプリによるエリア指定、さらには音声変更と、最新機能を山盛りにして「他社を凌駕してやんぞ」という意気込みを感じるRoborockですが、今回もっとも印象に残ったのはアプリでロボットを動かすラジコン機能でした。
先日、アマゾン傘下のセキュリティ企業Ring社が家庭用の防犯ドローンを発表しました。部屋中を飛び回ってカメラの映像をスマホに送れるというぶっとんだもので、約2万6300円という破壊的な価格も相まって耳目を集めました。今後、こうした動くカメラが家庭内をうろついている未来が来るのかなと感じます。考えてみればaiboと似たようなものですが、むしろ家電がペットになる時代が来るのかもしれません。高齢化時代の見守りだとかセラピーだとか、そういう名目のもとで。かわいいような不気味なような、まあ未来ってのは得てしてそういうものだよなとも感じます。来るべき未来を感じたいSF好きは迷わずRoborockをお試しください。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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