Amazonは9月24日(米国時間)、アマゾンデバイスの新製品発表会をオンライン上で開催した。Amazon初のゲームサービスである「Luna」が紹介されたほか、既報の通り、国内でも一部が発売される新「FireTV Stick」や「Echo」シリーズの新製品も登場した。
Lunaは月額5.99ドル(アーリーアクセス・サブスクリプション)で利用できるゲームサービスで、Amazonが運営するクラウド基盤AWSの上に作られたサービスだ。Googleの「Stadia」などと同種の画面転送型サービス、つまり、ゲームのプログラムはクラウド上で実行され、その結果(映像)だけがテレビなどにストリーミングされてくるものとなる。そのため、PCだけでなくスマートフォンやタブレットなど様々な機器でプレイすることができる。
対応範囲もテレビに差したFire TV Stickに加え、PC、Mac、iPhone/iPad、Android機と幅広い。
ゲームコンテンツのパートナーとしてユービーアイソフトも紹介された。100以上のゲームが提供される予定で、そのうちの50以上がLuna+チャンネル、残りがUbisoftチャンネルで提供されるという。標準で利用できるチャンネルのほかに、ゲームコンテンツメーカーが独自のチャンネルだけでゲームを提供するモデルも用意しているようだ。
また、Amazonは、Lunaを楽しむためのゲームコントローラー「Luna Controller」も開発。Cloud Directをキーワードにしており、直接クラウドにつながり、遅延の問題やペアリングの手間をなくせる点を強調していた。またマウントを介して、スマホと一体化することもでき、携帯ゲーム機のような使い方もできる。
Luna Controllerの価格はアーリーアクセスで49.99ドル。発表会では、Twitchのゲーム実況者も多数登場し、クラウド上にゲームがあるためアップデートが不要である点や、コントローラーの使いやすさなど、LunaやLuna Controllerの魅力について語った。
また、会見では国内未発表の製品や新機能などについても紹介されている。
例えばEcho Dotのキッズ向けモデルとしてパンダとトラのファブリック模様になった「Echo Dot Kids Edition」が59.99ドル。不適切な歌詞をフィルタリングしたり、1000以上の子供向けオーディオブックが利用できたりといったFire タブレットのキッズ版に似た特徴を備えている。教育や読み聞かせなども狙った製品だ。
Amazon Fire TV Stickについても、10ドルほど安いLite版がある
また、2018年に買収したセキュリティカメラベンダーRingの製品として、「Ring of Security for Cars」「Ring Car Alarm」「Ring Car Cam」「Ring Car Connect」「Ring Video Encription」(Control Centerの機能として提供)、「Ring Always Home Cam」といった製品・サービスも発表している。
このうち、Ring Always Home Camは、ドローンタイプの屋内向け監視カメラで、室内の決められたコースを自動で飛んで撮影をすることで、複数のカメラを設置することなく、室内の様々な場所の状況を把握することができる。例として、オーブンやアイロンの状態、カギがかかっているかの把握、家にほかに人がいないかなどを知ることが挙げられている。また、ほかの機器の警告と連携して、室内の撮影ができる。撮影が終わると、ドックに収納され、物理的に撮影ができなくなるといった配慮も入れている。249.99ドルで、発売は2021年を予定している。
Alexa自体の進化についても紹介されている。
例えば、二名の女性が会話している中に、自然にEcho端末が加わり、ピザを注文したり、おすすめの映画を紹介したりするといったものだ。従来のスマートスピーカーは、ウェイクワード(AlexaやComputerなど)を言ったうえで、音声の指示を出す仕組みだが、ディープラーニングを利用して、自然な会話の文脈の中で、Alexa自身が呼びかけられていることを認識し、適切な答えを出す。
また、Alexa自体が自分で正しい答えを学習していく(例えば、Echoが音声コマンドを実行した後、ユーザーがストップなどと言ってそれを止めた場合は間違った理解だったと判断するなど)だけでなく、ユーザーがAlexaを教育し、結果を改善する機能なども紹介された。照明を暗めに設定したい場合などに、ユーザーが暗めと言ったら照明は40%程度に落とすなど、学習させておけば、より自然な言葉で、Alexaを利用できるようになる。
Amazonの理想としては、ユーザーが一切学習せずに使える点だ。Amazonでデバイス&サービスを担当するシニアバイスプレジデントのデイブ・リンプ氏は「アンビエントホーム」という言葉を繰り返し使っていたが、生活になじみ、使っていることを意識させず、人と同じように機器とコミュニケーションを取れる点が、ボイスアシスタントのひとつの目標だろう。
Amazonはそのために新開発のチップや自然な言語処理などについて紹介した。これらのデモに加え、省電力・プライバシー・Zoomやロジクール製ウェブカムとのサービス連携、サブスクリプション型のホームセキュリティ機能なども力を入れて紹介されていた。これらも2020年流の新しいライフスタイルにAlexaがどうなじむかを示すものと言えそうだ。