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格安データ通信SIMを買って格安に使い倒す! 第161回

Android 11の新機能「有線LANテザリング」で楽天モバイルの固定回線的利用を試みる

2020年09月20日 12時00分更新

文● 正田拓也 編集● ASCII

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 Android 11が正式公開された。現時点で対応しているのは、ほぼグーグルのPixelシリーズのみになるが、実は注目の新機能がある。グーグルのサイトなどではほとんどアピールされてないが、Android 11になったPixelでは「イーサネットテザリング」が追加され、楽天モバイルなど、格安SIMの固定回線風利用にも便利なのだ。

Pixelシリーズの中でもお手頃価格が魅力の「Pixel 4」。Android 11のアップデートはすでに始まっている

Android 11でイーサネットテザリングの機能が追加

 現時点では、イーサネットテザリングはAndroid 11で必ず利用できる機能なのか、Pixelシリーズに限定された機能なのかはまだ不明だが、少なくともAndroid 11にアップデートしたPixelでは使える。プレビュー版のときから一部で話題になっており、筆者も注目していたのだ。

左がAndroid 10のときのテザリングの画面。Android 11で「イーサネットテザリング」の項目が登場した。LANアダプターが接続されたときだけ色が濃くなって、機能をオンにできる

 イーサネットテザリングとは、テザリングの子機が有線LAN接続で使えること。これまでのテザリングではスマートフォンを無線LAN(Wi-Fi)の親機のようにして、PCやさらに他のスマートフォンを無線経由でインターネットに接続することは可能だった。しかし、イーサネットテザリングではそれが有線経由となる。有線LANなら、PC以外にテレビやセットトップボックスなど、安定的な接続を要する機器でも使うことができる。

 使い放題のデータ通信だけ活かすなら有線LAN端子に対応したモバイルルーターを別途用意する手もあるが、前述の楽天モバイル「Rakuten UN-LIMIT」のように、通信だけでなく通話も使い放題という回線であれば、SIMをモバイルルーターを刺してしまってはメリットを最大限活かすことができない。

 つまり、Rakuten UN-LIMITのSIMは、スマートフォンを使ってのテザリングが便利と言うことになる。しかもテザリングで有線LANが使えるとなれば、接続できる機器が増えるし、さらに別途Wi-Fi 6対応などの無線LANルーターを用意すれば、スマートフォンの性能に限定されず、安定した無線LAN接続が可能だ。

まずはスマートフォンで使える
USB接続の有線LANアダプターを用意する必要がある

 有線LANのテザリングに対応したと言っても、当然ながらスマートフォンのPixelには有線LAN端子はないので、別途アダプターを用意する必要となる。それには、スタンダードなチップを搭載したUSB接続のLANアダプターと、いわゆるOTGアダプターがあればいい。

LANアダプターを使い、下流には無線LANルーターを接続してみた

 Type-C用のOTGアダプターは数多く市販されており、たまに100円ショップなどでも見かける。そして、有線LANアダプターは内部のチップにもよって使えるかどうかが決まり、比較的一般的なものなら大丈夫だ。

 筆者が確認したものでは、バッファロー「LUA3-U2-ATX」という長く販売されているものと、レノボのUSB LANアダプター、任天堂のWii用の有線LANアダプター。さらにノーブランドだが、Type-Cに直接接続できてUSB PDと有線LAN、USB Aポートが付いているアダプターなどでも利用できた。

USB PDのスルー機能とLAN端子がついたアダプターはあちこちで売られている。OTGアダプターも不要で便利

任天堂のWii LANアダプターでも使える。手持ちがあるなら活用したいし、中古でなら格安で入手できると思われる

レノボのUSB LANアダプター。100BASE-TX対応の少し古いモデル

 有線LANアダプターは電気をそれなりに消費するので、充電しながら利用するのがベターだが、そうなるとUSB PDのスルーに対応したUSB Type-C用の有線LANアダプターが便利だ。今回試したノーブランドのアダプターは対応機種にPixelシリーズなどが入っていたため購入してみたが、問題なく利用できた。

 実際に使い始めてわかったのが、無通信が続くとテザリングが解除されてしまうという問題。PC1台だけ使っていると、そのPCがスリープすると接続が途切れるが、有線LANポートに無線LANルーターを接続し、その下に複数のPCを接続したり、クラウド側と定期的に通信をするようなIoT機器などをつないでおけば、無通信でテザリングが止まるということもない。

Rakuten Linkアプリでは
通話時にBluetooth子機の利用に制限がある

 今回の使い方では、スマートフォンがケーブルで常時接続されてしまうため、通話にはBluetooth接続の子機を使いたくなる。最近秋葉原などで見かける海外向けの小型携帯電話がBluetooth子機として使えるほか、筆者のおすすめは最後期のPHS端末だ。一部機種でBluetooth子機として別のスマートフォンと接続して通話ができる機能があり、良質中古も格安で入手できる。

 ただし、Bluetooth子機として使える機種は限られており、型番も似たようなものが並んでいるので間違えないようにしたい。筆者が今回試したのはY!mobileから発売されていた京セラ「LIBERIO 401KC」である。今回テストに用いたPixel 4aとの間での接続に問題でき、標準の通話アプリであれば問題なく使えた。

Bluetooth子機設定したPHS、LIBERIO 401KCから発信しようとする際は、電話番号とPixelからの発信を選ぶ

 ただしBluetooth子機がまともに使えるのは標準の通話アプリだけ。Rakuten UN-LIMITでの通話使い放題に必要な「Rakuten Link」アプリでの対応が微妙で、ほぼ実用に耐えない言ってもいいくらいだからだ。

Bluetooth子機から発信すると、標準アプリからの発信となるのでアプリ限定の定額通話などは適用外。Rakuten Linkも非対応

 Rakuten Linkアプリを起動した状態で子機から電話をかけようとしても、標準通話アプリからの発信になってしまう。これでは定額の対象外で、30秒20円の通話料が発生してしまう。では、着信なら問題がないのかと言えば、Rakuten Linkのアプリを操作する扱いになるためか、本体で操作をしないと通話に応答ができず、子機だけで電話に出ることはできない。あくまで子機はBluetoothスピーカーとマイクという扱いになり、Pixel 4aのタッチパネル操作が必ず必要になるのだ。発着信とも本体操作と併用すれば、Bluetooth子機として通話ができないことはないが、操作性はよくない。

Rakuten Linkで着信すると一応子機は反応するが、子機のボタンを押しても着信音が子機のスピーカーから出るだけで通話にならない。あらためて親機で応答操作が必要

子機で通話中の様子。Rakuten Linkの場合、単なるスピーカーとマイクとしてしか使っていないようだ

Rakuten Linkの場合では、子機側のボタンで通話を切っても、本体はそのまま通話が続いているという状態になる

 今回試したのは、Android 11を搭載したPixel 4aとRakuten Linkアプリの組み合わせだが、今後アプリのバージョンアップで改良される可能性もあるので期待したい。

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