かゆいところに手が届く機能も!
バックモニターも搭載
さすが! と思ったのは、ケース部正面に「音量調整ボタン」が設けられていること。本機は車種によってはステアリングリモコンで音量調整できるが、これなら説明せずとも助手席の人が音量調整できる。こういった地味に便利な仕様というのはとても大切だ。
バックモニター表示も可能だ。シフトをリバースに入れれば、自動的にバックカメラの映像に切り替わる。しかもガイドラインもきちんと表示される(オンオフ可能)。ナビやディスプレーデバイスでは当たり前の機能であるが、これがタブレットで表示されることには大変驚いた。
パイオニア謹製アプリの右上には設定項目が設けられているが、そのUIも分かりやすい事も報告したい。画面の色やテーマなどを自由自在に変えられるのは勿論だが、イコライジングの多さは、さすがパイオニアといったところ。こういった細かい使い勝手こそパイオニアのよいところだ。
パイオニアは「カフェで友達とタブレットで行先を探して、そのまま車に持ち込む」というような、車外から車内へとシームレスに使える点をメインに置いている。確かに人と会うと時に「タブレットがあれば、画面を一緒に見ながら説明できるのに」と思う一方、タブレットは意外と荷物になりがちで持ち歩くのに躊躇する。その点で「常にクルマにタブレットがあり、必要な時に取り外して屋外で使える」というのはとても便利だと感じた。
ありそうでなかったタブレットナビ
LTEモデルがあれば使い勝手が良くなるのだが
一通りタブレットAVシステムの機能をご紹介したところで、従来のカーナビやスマートフォンと接続して利用するディスプレイ端末、そしてホルダーにスマホを取り付けた場合の違いについて整理したい。マップやGPSの精度、パッと見の理解度、ナビ音声の聞き取りのよさなどは、専用機であるカーナビに軍配が上がる。さらにパイオニア製カーナビの場合、過去のビッグデータを用いた最適なルートを掲出するという。ここはスマホアプリに対して一日以上の長がある。だが、ナビ本体そのものが高額なうえ、取り付け工賃も高くなりがちだ。
コストパフォーマンスの点では、ホルダーにスマートフォンを使った方式だろう。ただ画面は小さいため、パッと見で理解するにはかなりの慣れが必要だ。さらに操作系の小ささゆえ、運転中に何かをしようとすると煩雑。さらにホルダーのデキによっては、しっかり固定できないといった不満も出てくる。
ディスプレー端末は、コスト面でいえばスマホとナビの中間にあたる。Android AutoやApple CarPlayなどによって、UIも悪くはない。ただ車両とスマートフォンとをUSB接続をしなければならないという見た目の問題があるし、使えるアプリも限られている。そしてYouTubeの動画再生はできるものの、スマートフォン内の動画を再生するには、別途HDMI接続しミラーリング出力をしなければならないなど面倒だ。
タブレットAVシステムは、ナビそのものはアプリに依存する点でスマホやディスプレー端末と同様で、専用機であるカーナビには敵わない。だがエンターテインメントの面で見ると、カーナビは言うに及ばず、画面が大きく取り外しができるゆえに、スマートフォンはもちろんのことディスプレー端末をはるかに凌駕する。また運転中に操作する際、車内利用で作られているAndroid Autoなどよりも使いやすいUIとするのは、さすがカーナビを作り続けてきたパイオニアといったところ。なにより車両とUSBケーブルで接続しなくてもよく、ホルダーよりもしっかりと取り付けられるとあって、車内を綺麗に保ちたい人にはうってつけのアイテムといえそうだ。
さらにカーナビやディスプレー端末と異なり、タブレットを交換すれば簡単に大画面化ができる将来性も見逃せない。現状は8型だが、10型、12型といったモデルが出てくれば、さらに使いやすく便利になるだろう。もちろんLTEモデルなら言うことナシだ。
新車の中にはディスプレー端末を標準もしくはオプション設定する車種が多くなってきた。しかし同じGoogleマップを使うなら、スマホは言うに及ばず、Android AutoやApple CarPlay対応ディスプレー端末よりタブレットAVシステムの方が絶対に使いやすいと断言したい。もし「2DINに搭載するナビを安く大画面ナビに乗り換えたい」という方には、このタブレットAVシステムはオススメだ。今までありそうでなかった車載専用タブレットというジャンルに今後も注目したい。