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「地図とユーザーデータ」から見える各社の地図サービス戦略

アップル新「マップ」の躍進、Googleマップと真逆のアプローチとは

2020年07月06日 09時00分更新

文● 西田 宗千佳 編集●飯島 恵里子/ASCII

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ナイアンティックはプラットフォーム「Real World Platform」をベースに、世界中で楽しまれているボードゲーム「CATAN/カタンの開拓者たち」をリアルワールドに展開することを、先日発表した

AR時代を目指して「グローバル3D地図」技術を各社が競う

 Location Anchorのような機能は、ARをより実用的なものにするために重要なものだ。特定の場所に広告オブジェクトを置いたり、多くの人が参加するイベントを展開したり、ナビゲーションに使ったりと、用途はいろいろある。

 それだけに、アップルだけが同じような機能を開発しているわけではない。もちろんグーグルも同様だ。グーグルもアップルと同じように、自社での地図生成の際に、同時に3Dデータを取得し、3D地図の整備を進めている。

 マイクロソフトは2019年から、クラウドインフラであるAzure上でLocation Anchorに近い機能を「Spatial Anchor」として提供中。スマホ位置ゲーム「Minecraft Earth」もこの技術を使って提供されている。

 そして「ポケモンGO」で知られるナイアンティックも、「惑星規模のワールドマップ」を作るための技術を開発中だ。ナイアンティック・エンジニアリング担当シニア・バイスプレジデントのYuji Higaki氏は、筆者の質問に次のようにコメントしている。

 「Googleマップは人間のために作られ、人が見やすいように作られた地図だが、私たちが構築しているARマップは『機械のため』に構築されている、全く異なる種類のマップなり、全く新しい可能性を切り開くことになるだろう」

3D地図収集方法は企業によって異なる

 これらの企業でも、データに関する考え方は大きく異なる。3D地図については、アップルとグーグルは自分たちで収集しているが、ナイアンティックは違う。ゲームなどで遊ぶ中でユーザーに地域のデータを集めてもらい、それを統合して3D地図データにしていこう……と考えている。

 これは、3Dデータという収集にコストがかかるものをどう集めるのか、というポリシーにつながっている。アップルやグーグルはもともと地図データを作っているのでその流れでコストを計算できるが、ナイアンティックは地図データを外部に依存しており、3Dデータ生成を自分でやるほどのコストをかけられない。

 もともと同社はイングレスでプレイヤーから申請を受けた「ポータル」をポケモンGOでは「ポケストップ」に流用してサービス内容を整備した経験があり、それに似たアプローチを展開するのだろう。

 なお、マイクロソフトは技術は提供するものの、地図データは自前で収集しない。Minecraft Earthで収集したものも「あくまで彼らのゲーム内で使うものであり、マイクロソフト全社で使うものではないし、Hololensで使うものでもない」(Hololnesの生みの親で、マイクロソフト・フェローのAlex Kipman氏)という。

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