デノンは7月3日、プレミアムクラスのAVサラウンドアンプ「AVC-X6700H」と「AVR-X4700H」を発表した。価格はそれぞれ33万円(税抜)と18万円(税抜)。発売はX4700Hが先行して7月下旬、X6700Hは8月下旬。
訂正とお詫び:タイトルの製品名を修正いたしました。(2020年7月4日)
AVC-X6700H
AVC-X6700Hは、8K Ultra HD、ドルビーアトモス、IMAX Enhanced、Auro-3Dなど、様々なフォーマットに対応した11.2chのサラウンドアンプ。さらに、DTS:X Proに対応予定となっている。
内蔵するパワーアンプは、全チャンネルを同一クオリティにしており、最大250W(6Ω)と高出力。フラッグシップ機「AVC-X8500H」譲りのモノリスコンストラクション(各チャンネルを独立基板にする構造)を採用する。なお、内蔵するパワーアンプは11基だが、サラウンドプロセッサー自体は13.2chの処理が可能となっており、2chのパワーアンプを追加すれば、最大13.2chのAuro-3Dフォーマットにもフル対応できる。また、高音質化のため敢えてパワーアンプへの電力供給を切って、プリアンプとして使えるモードも持っている。
注目点は業界に先駆けて、新4K衛星放送のMPEG-4 AAC 5.1chデコード機能を搭載したこと。新4K衛星放送でサラウンド再生をする場合、現状ではレコーダーやチューナーで一度PCMに変換したうえで、AVアンプに出力する方法が一般的だ。ただし、この変換によって低音のバランスなどが変化してしまうことがある。これをデノンは良しとせず、チューナーからビットストリーム出力した情報を、AVアンプで直接デコードする点にこだわっている。音質にこだわった4K放送の音楽、映画、スポーツコンテンツなどを存分に楽しめる仕様になっている。
HDMI端子は8K60pおよび4K120pの入出力に対応する。ソース側の解像度やフレームレートがこれよりも低い場合、映像信号をアップスケーリングしたうえで、テレビにHDMI出力する機能も持つ。
いま存在する5種類のHDR規格(HDR10+/Dynamic HDR/HDR10/Dolby Vision/HLG)にもすべて対応。BT.2020色空間、VRR(可変リフレッシュレート)、QMS(Quick Media Switching)、QFT(Quick Frame Transport)、ALLM(Audio Low Latency Mode)、eARC(enhanced Aurio Return Channel)といった、HDMI 2.1時代で核となる技術を積極的に採用している。
ちなみに、HDMI 2.1の機能をフルに使うためには48Gbpsの伝送帯域が必要となる。これは8K60p/12bit/4:4:4の信号を送るためのものだ。今回の2機種は40Gbpsの帯域とのことだが、8K60p/12bit/4:2:0の信号まで対応できる(輝度情報は同じで、色情報が1/4になる)。8K放送の再生という意味では十分と言え、8K60p/12bit/4:4:4のコンテンツもいまのところ存在しない。
音楽再生では、デノンブランドが注力しているネットワーク再生モジュール「HEOS」を搭載。Amazon Music HD、AWA、Spotifyなどのストリーミングサービス、ミュージックサーバーに格納したハイレゾ音源(DSD 5.6MHz音源を含む)の再生、AirPlay 2、Bluetooth(受信/送信の両方に対応)、Amazon Alexaコントロールなど、多彩なネットワーク連携機能を持つ。
Hi-Fiメーカーとして培った、オーディオ技術も積極的に投入。回路は「D.D.S.C.」(Dynamic Discrete Surround Circuit)のコンセプトに基づいて設計。電源部に大電流タイプのパワートランジスタ「Denon High Current Transistor」を採用したり、各種カスタムコンデンサーを利用している。
DAC部もアナログ回路であるという思想のもと、ノイズの影響が少ない独立基板に置いており、DACから出力されたアナログ信号を通すフィルターをA級動作のオペアンプに変えるなど周辺回路を改良している。
ほかにもボリュームとセレクターを分離したカスタム電子ボリュームの採用、薄膜高分子積層コンデンサーや薄膜抵抗といったコストのかかる音質対策パーツの利用など、音質優先の設計とした。基板も一新している。信号の伝送経路などを見直し、上下左右の対称性を上げるなど整ったパターニングとした。また金属も厚くして、インピーダンスを下げている。
DSPのSHARCプロセッサーは、X8500Hと同じ“Griffin Lite”を2基搭載。ほかにもX8500Hの技術を積極的に取り入れている。最新フォーマットにいち早くするとともに、2chオーディオ再生用としてもサラウンド再生用としても高い水準の音質を確保しているのが特徴だ。
本体サイズは幅434×奥行き389×高さ167mm(Wi-Fiアンテナを寝かせた状態)で、重量は14.8kg。8系統のHDMI入力端子(HDMI7は8K入力対応)、3系統のHDMI出力(うちモニター1/2の2系統が8K出力対応で2画面同時出力にも対応)。ほかにアナログ、ネットワークなど豊富な入出力端子を持っている。
AVR-X4700H
AVR-X4700Hも、同じく8K Ultra HDやIMAX Enhanced、Auro-3Dなどに対応するが、内蔵パワーアンプの数が2つ少ない、9.2chのサラウンドアンプとなっている。ただし、プロセッシングおよびプリアンプ出力は11.2chとなっており、パワーアンプを追加することで、7.1.4ch構成のAuro-3Dや7.2.4chのドルビーアトモスにも対応可能となっている。
内蔵するパワーアンプは全チャンネル同一クオリティーという意味ではX6700Hと同様だが、各回路は1基板にまとめて配置するタイプになっている。出力は最大235W(6Ω)。プリアンプモードも備えている。
5.1ch MPEG-4 AACのデコードに対応し、8K60pおよび4K120pに対応。入力した映像信号をこれらのフォーマットにアップスケーリングしてHDMI出力できたり、5種類のHDR規格へのフル対応、BT.2020色空間、VRR、QMS、QFT、ALLM、eARCなどにも対応する。また、HEOSモジュールを搭載するなど、機能面ではAVC-X6700Hと遜色ないものになっている。半額近い価格に抑えつつも非常に充実したスペックを持つ機種と言える。
また、DACから出力されたアナログ信号を通すフィルターをA級動作とする点も同様だ。なお、AVR-X4700Hは「AVR」という型番が示す通り、チューナー搭載のAVレシーバーとなっており、ワイドFMなどラジオ放送の視聴にも対応する。
本体サイズは幅434×奥行き389×高さ167mm(Wi-Fiアンテナを寝かせた状態)で、重量は13.7kg。8系統のHDMI入力端子(HDMI7は8K入力対応)、3系統のHDMI出力(うちモニター1/2の2系統が8K出力対応)を装備。この点もAVC-X6700Hと同様だ。