3歳児くんの保護者をしています、盛田諒ですこんにちは。緊急事態宣言が解除され保育園がやっと週1日から週3日に増えた矢先に子が37.5℃の熱を出しました。家で熱測ったら36.7℃だったんですが。熱がこもりやすい時季だからかなあ。新型コロナではないのでまあよかったですが。
先日ワーママ向けメディア「Mrelations」さんの取材を受けました。新型コロナと働き方について聞かれしどろもどろに答えたのは、人間仕事で何ができるかがすべてではなく家庭や地域で何ができるかが大きいはずだということでした。逆に、何ができないかということも同様です。ほとんどの時間を仕事に費やしていると見えないものが、家にいると否応なしに見えてくるもんですね。
子どもがいるとできない仕事が出てくるってのは在宅ワークをやる前から感じてたことです。子どもが熱を出したらすぐ仕事を切り上げて帰らざるをえないとか、そもそも仕事できる時間が減るとか。「いや子どもがいてもいい仕事をする人はいるわけで、子どもを言い訳にするのは違うっしょ。つか子どもが仕事の障害になるみたいな考え方どうなのよ」。そんな内面の声を聞きながら、ダーク・ダックスの「銀色の道」を口ずさみ、はるかな道をとぼとぼ家まで帰っていく日もありました。
しかしここ最近、その苦しい坂がふとゆるやかになってきたんですよね。
子どもが家にいたら在宅ワークなんて絶対無理って状況に変わりはなく、実働時間は半減し、最低限の仕事しかできなくなってとても大変なんですが、子どもが楽しそうにしている顔を見ているとなんというか満ち足りるようになり、できないことがあっても子どもが笑ってるならまあいいかなと感じるようになってきたんですね。反面、妻とあれやこれやでけんかをしたり生活の悩みを深めるようにもなってきたんですが。保育園のパパ友が地元のいろんな人たちと仲良くしているところを見て、自分が地元のつながりをまったく持ってないことにも気づかされたりもしました。
これは、仕事、家庭、地域社会、あとはソーシャルネットワークなんかにバランスよく接し、多面的に社会に関わるようになったということ。ワーク・ライフ・バランスっていうのは本来こういうことなのかもしれないなあと思いました。これまで働き方改革にひっかけて使われた言葉だったので働き方の話とばかり思ってましたが、本来は人としての生き方のことだったんじゃないかなあと。年収と幸せが比例するのは上限があるって言うし、人として幸せを追求するならむしろ仕事の時間を減らした方がいいんじゃないか。その意味、子どもが仕事の邪魔をしていたんじゃなく、むしろ仕事が子どもと過ごす時間の邪魔をしてたんじゃないかとさえ思うようになってきました。
そう考えると在宅ワークだったり育児休業、有給扱いの特別休暇(実質の休業補償)みたいなものが大企業の一握りの社員の権利みたいになってるのは変な話だよなあとじわじわ疑問になってきますね。医療、介護、教育、物流、小売、建設、公共インフラなどの現場で働いて、私の暮らしを支える人のワーク・ライフ・バランスはどうなってるんだ、公共ってのは一体何なんだっていう。
子どもと暮らしながら仕事をするということは、親の立場であらためて社会と向き合うことだなと思います。新型コロナウイルスは社会のあり方を大きく変えていますが、これからの社会を作っているのはウイルスでなく親である自分自身。これからどんな生き方をして、どんな仕事を自粛するべきなのか、今は自分の言葉で新しい生活様式を考えるタイミングなのかもしれないなと思います。
……みたいなことを取材でうまく言えたらよかったんですが。私のモヤモヤとしたおしゃべりをまとめる方には感謝にたえません。仕事も生活もできないことだらけ、子どもを含めて夜道を照らす星のような人々の助けでどうにか歩けている私です。ああ、また銀色の道が聴こえる。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。3歳児くんの保護者です。Facebookでおたより募集中。
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