家族時間を充実させる、調理家電
一方、パナソニックでは、子供などと、一緒に調理ができる家電の販売が増加していることを示す。
ホームベーカリーは、3月以降、上位機種の販売台数が、前年比および計画比ともに約2倍で推移。ホットプレートも、緊急事態宣言後は前年同期比約1.6倍という売れ行きをみせている。「子供と一緒に、楽しみながら食事を作ったり、食べたりできる調理家電として人気がある」とする。
つぶす、混ぜる、きざむ、泡立てるといったことが1台でできるハンドブレンダーも、緊急事態宣言後は、前年同期比約2倍と人気が出ており、これも子供と一緒に料理をするためのツールとして重宝されていることがわかる。
スーパーでは、ホットケーキ粉やお好み焼き粉、たこ焼き粉、パン用ミックス粉などが品薄になっているが、ホームベーカリーで、子供と一緒にパンを作ったり、家族全員で食卓を囲む際にホットプレートを使ったりといったように、家庭で一緒に食事を楽しむために必要な調理家電のひとつになっている。
また、おいしいごはんにこだわりたいという人たちは、コロナ禍を機に、新たに炊飯器を購入するという動きもあるようだ。
日立グローバルライフソリューションズが、2019年7月に発売した日立のIHジャー炊飯器「ふっくら御膳」は、従来モデルに比べて、約1.3倍の売れ行きを見せているという。
連日行列が絶えなかった米料亭「八代目儀兵衛」の米炊き職人が開発に協力し、圧力とスチームを使う「極上ひと粒炊き」により、「外硬内軟」と呼ぶ、八代目儀兵衛独自の焚き上げを再現。粒感があり、かむと甘みが広がるごはんのおいしさを楽しむことができるという。自宅でおいしいごはんを食べたいというニーズは着実に広がっているようだ。
美容関係の製品も需要増の傾向
調理家電以外でも、人気の家電がある。
パナソニックの「スチーマーナノケア」は、3月に前年同月比約1.5倍、4月後半以降は前年同期比約1.8倍という人気ぶりだ。
「エステサロンへの外出などが難しいことから、おうちで美容、おうちでエステを楽しむ利用者が増えている。フェイスケアやボディケアのエステ商品群中心に、全体的に販売が増加している」という。
そういう筆者もパナソニックの家庭用散髪器具「カットモード」を使用して、自分で調髪した一人だ。刈り高さアタッチメントを使えば、好みの長さでスソ仕上げや耳まわりのカットができ、髪をかきあげるようにすれば、スキマバサミでカットしたような仕上げが手軽にできる。最初はこわごわとやっていたが、少しずつ短く切れるモードで散髪。自分ながら、かなりいい感じにまとめることができた。
品薄の店舗も出る空気清浄機
一方、空気清浄機の販売も好調だ。
ナノイーを搭載した空気清浄機を発売するパナソニックでは、4月には前年同月比約1.4倍の伸びをみせたほか、家庭向けにも販売を開始している次亜塩素酸空間除菌脱臭機「ジアイーノ」は、現在、新規受注を一時停止するほどの人気ぶりだ。
プライズマクラスターイオンを搭載した空気清浄機を発売し、この分野でトップシェアを誇るシャープは、2月中旬~3月には前年同期比で約1.2倍、4月に入ってからは前年同月比約2倍で推移したという。
「在宅時間が増え、家庭内の空気質への関心が高まったことに加えて、すぐにテレワークに移行できない企業では、新型コロナウイルス対策の一環として、少しでもオフィスの空気環境をケアしたいとのニーズが見られ、法人需要が堅調に増加している」という。 空気の質に対する関心は、これまでの「快適性」に加えて、「衛生」や「安全性」が注目を集めている。もちろん、新型コロナウイルスを抑制する効果は実証されていないが、少しでも空気の質を高めたいというニーズは高い。