年明け早々から中国・武漢発で感染拡大が進んだ新型コロナウイルス感染症(「COVID-19」)がスマートフォン市場に与えるインパクトは何か――短期的にはやはり市場の縮小となった。Strategy Analyticsによると、2020年第1四半期のスマートフォン市場は「史上最悪」となる17%のマイナスだという。
スマホ史上最悪となった2020年Q1の販売台数
ポストスマートフォンを探る動きは前からあった。2007年に登場した初代iPhoneとその後のAndroid陣営が築き上げた現在のスマホ市場は、世界的に普及率が上がったことから、ここ5年ほど右肩上がりでの成長は見られなくなっていた。
Gartnerは2016年にスマホ市場の成長が鈍化すると警告、そして2017年第1四半期には、初のマイナス成長を記録する。結局2017年は通年ベースでは2.7%と微減、そして2018年も1.2%増とかろうじてマイナス成長を回避できたが、2019年は再び1%のマイナスとなった。
そうして迎えた2020年早々に世界はCOVID-19に見舞われる。Strategy Analytisによると、2020年1~3月期の世界スマートフォン出荷台数は2億7500万台、2019年第1四半期と比較して17%減少した。これはスマートフォン市場で最悪の減少率という。
「COVID-19の拡大が中国などの主要な経済を閉鎖に追い込み、消費を控えるようになったため、需要がストップした」とStrategy Analyticsは縮小の原因を分析している。
トップ5で最も減少が大きかったのはサムスン
一方でシャオミは初のシェア10%台に乗る
ベンダー別のシェアを見てみよう。上位ベンダーの顔ぶれに変化はないが、出荷台数における前年同期比という点では明暗が出ている。
前年同期からのマイナスが一番大きかったのがサムスン。19%減の5830万台となった。同社は「Galaxy S20」を発表しているが、高価格帯のハイエンドに消費者の食指は動かなかったのだろうか。なお、四半期で5830万台という出荷台数はサムスンにとって、この8年で最低だという。それでもシェアは21%台をなんとか維持した。
2位のファーウェイも苦戦を強いられた。出荷台数は4850万台、これは前年同期から18%の減少となる。ファーウェイはメイン市場が中国であることを考えると無理もない。シェアは17%をキープしている。
3位のアップルは、前年同期比9%減に止めるなどトップ5の中では善戦した。出荷台数は3920万台。Strategy Analyticsによると、「予想よりも良い」という。その結果、シェアは前年同期は13%だったのが、今期は14%にアップした。
4位のシャオミは前年同期比でほぼ横ばいの2750万台の出荷台数だった。他社がマイナス成長の中で、シェアは当然上昇。2019年Q1の8%から今期は10%となった。10%というシェア値はシャオミにとって過去最高という。
5位はOPPO、前年同期比11%減の2540万台でシェアは8%。前年の7%から1ポイントのアップとなる。
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