Bluetooth以前はスマートじゃなかった腕時計型プレイヤー
「リストカメラ WQV-1」は確か、同じくカシオ製の腕時計型MP3プレイヤーと同時期に発表されたと記憶している。2000年代前半はまだ、CDから音楽をパソコンに取り込んで、MP3プレイヤー(デジタルオーディオプレーヤー)に転送して聞くというスタイルが一般的で、大量の音楽を持ち歩けるiPodなどの大容量プレイヤーも登場し、大ブームになっていた。一方でより腕時計型のように携帯性に優れたプレイヤーも、いろいろなメーカーから発売されていた。
筆者が所有する日本ポラデジタル製の「LAKS MEMORY MUSIC 128MB」もそんな製品のひとつ。アナログ時計にMP3プレイヤーが一体化されていて、PCから取り込んだ音楽を再生できた。ヘッドフォン端子を備えていて、有線のイヤホンを接続するスタイル。腕から耳へとケーブルが伸びる様は今考えるとまったくスマートではないが、それでも当時はうれしくて、通っていたスポーツジムによく持っていったものだ。
ランニングマシンを走りながら、腕時計型のプレイヤーで音楽を聞くのが格好いいと思っていたのだが、マシンを降りる際によくケーブルを引っかけるのがたまに傷だった。そんなことを繰り返しているうちに、ついにはイヤホンが断線。しかし「LAKS MEMORY MUSIC 128MB」には小型化のために2.5mm端子が使われていたので、手持ちの他のイヤホンはアダプターなしにつなぐことができなかった。
USBケーブルがバンドに一体化されていて、そのままPCに接続して音楽を取り込めるオールインワンだったことや、ボイスメモ機能を備えていたところ、一見時計にしか見えないデザインなども気に入っていたのだが、結局そのままなんとなく使わなくなり、iPod miniを買ったのを機に完全に押し入れ行きになってしまった。
デジタルオーディオプレーヤーは、今なら「Apple Watch」のようなスマートウォッチの一機能として搭載されていて、Bluetoothヘッドフォンで完全ワイヤレス接続も当たり前。なんならノイズキャンセリング機能まで備わっている。イヤホンケーブルをしょっちゅう引っかけていた当時と比べれば随分スマートになったが、まさかスポーツジムに行けなくなる日が来るとは思わなかった。