ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊モノ……いずれも、今でも放送が続く人気の特撮ヒーローシリーズだが、筆者も子供の頃はどっぷりとハマっていた。中でもよく見ていたのが、再放送で毎日のようにやっていたウルトラマンシリーズ。特に「ウルトラセブン」が大好きだった。ウルトラ警備隊員が装備していた「ビデオシーバー」に、ものすごく憧れたからだ。
「ビデオシーバー」はその名の通り、トランシーバーとビデオ通話の機能を兼ね備えた腕時計のデバイスで、パカッと開けるとディスプレイが現れ、話しかけるだけで相手につながる。今やカメラ付きのスマートウォッチで同様の機能を持つ製品も登場しているが、当時はもちろん夢のデバイスだった。思えばあれが、筆者が無類のデジタルガジェット好きとなる最初の一歩だったかもしれない。
筆者に限らず、昭和の子供達は多かれ少なかれ、特撮ヒーローやSFアニメ、あるいはスパイ映画の中の「腕時計型の某」に憧れを抱いていたはずだ。
あれから時が流れて筆者は大人になり、一方でテクノロジーは劇的に進化して、「腕時計型の某」は憧れのアイテムから、実際に買える製品になった。STAY HOME週間を利用して家を掃除していたら、かつてこれまでに購入したそんな製品がいろいろ発掘されたので、この場を借りて特に思い出深い3つを紹介したい。
尖っていたカシオの「リストカメラ」は今でも十分に斬新
デジタルカメラ黎明期に、「QV-10」というコンパクトなデジタルカメラを発売し一世を風靡したカシオ計算機。ほかにも「カシオペア」というWindows CEを採用したポケットPCをヒットさせたり、タフネスケータイ「G'zOne」シリーズを発売するなど、90年代後半から2000年代にかけてのカシオは、かなり尖った製品を手がけるメーカーという印象だった。
そのカシオが2000年に発売したのが、腕時計型デジタルカメラ「リストカメラ WQV-1」。「G-SHOCK」のカシオがいよいよ本気で、憧れの腕時計型ガジェットを作り始めたと、めちゃくちゃ興奮したのを覚えている。筆者の押し入れから発掘されたのは、その初代からほんの少し遅れて発売された「WQV-2」で、金属ベルトにもう少し角張ったデザインだった初代に比べると、ややカジュアルでスポーティーなモデル。カラーも確か、3色くらいから選べたように記憶している。
モノクロディスプレーで、電源はCR2032のボタン電池。試しに入れてみたら、今でもちゃんと動いて驚いた。カメラもモノクロで、有効画素数はなんと2万5344画素。ちなみに筆者が今使っている「iPhone 11 Pro」は約1200万画素だ。今のスマホなどと比べたら、もはやドット絵に近い画質と言えるかもしれない。記録は内蔵メモリーのみで、別売りの専用アダプターをPCにつないで、赤外線通信で写真を送信する仕組みだった。
今回このアダプターが発掘できなかったため、作例がお見せできないのが残念だが、このほかリストカメラ同士でも写真を送信することができた。ちなみにリストカメラが発売されたのは、カメラ付きケータイが発売される半年ほど前で、赤外線通信での写真送信はこの後、ケータイでもポピュラーな機能になっていく。まさに時代を先取りした製品だったわけだ。