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1万人が殺到したガリバーの無償レンタルサービスの狙いは「移動の不安を解消する」こと

2020年04月22日 10時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 日本だけでなく、世界中が新型コロナウイルスに苦しめられている中、民間企業による支援策が注目されている。その中でも、「ガリバー」で知られる中古車事業の運営会社、株式会社IDOMが行った「1万人へのクルマの無料レンタル支援」が話題だ。

 4月13日、IDOMは、ほとんど事前の告知もないまま「ガリバー、医療従事者をはじめとした“移動を必要とする”全国1万名にクルマを無償提供へ」のリリースを発表する。これは、「医療従事者」「移動が必要なワーカー」「配送が必要な飲食店および小売店」「移動が必要な一般生活者」に該当する全国1万名へ、ガリバーが所有するクルマを、最大3ヵ月間無償で貸し出すというもの。LINEを通じて4月15日から開始された申し込みには、24時間で1万を超える応募が殺到したという。

 そこで今回、急遽、IDOMのプロジェクト担当者に書面で質問を投げかけてみた。答えてくれたのは、ガリバークルマ支援プロジェクトリーダーの山畑直樹氏だ。

今回書面でのインタビューに答えていただいた、ガリバー クルマ支援プロジェクトリーダー 山畑直樹氏

──新型コロナウイルスによる、ガリバーのビジネスへの影響を教えてください。

山畑直樹氏(以下敬称略) ガリバー店舗への来店は以前と比べ10%減ほどですが、NOREL(サブスクリプション)の問い合わせは逆に以前より5倍に増えています。

──クルマ支援のアイデアは、どのような経緯で実施することになったでしょうか?

山畑 前述の問い合わせ増加しているNORELのうち、直近契約者の4割が医療従事者だったことから、この状況でも移動に迫られている人、特にもっとも必要とされている医療従事者への支援を実施することにしました。

──準備で大変だったことはありますか?

山畑 繁忙期をすぎ、在庫が不足しているため、全国のガリバー店舗にお願いしてこの支援用のクルマを募ったことですね。

──支援を公開する前は、どのようになると予想していましたか?

山畑 広告もやらないため、本当に必要な人に情報が届くには時間がかかると考えていました。

──公開後に申し込みが殺到したようですね。

山畑 想像以上に移動に不安を抱えている方が多かった。医療従事者だけではなく社会インフラを支える人や、病気をお持ちの方、妊婦の方などさまざまな方が不安に怯えながら日々生活をしていることがわかりました。

──この先、このサービスはどのように発展すると予想しているのでしょう。

山畑 普段の足としての移動手段だけではなく、大きな買い物や、通院など短期的な利用をしたい方も相当数いるので、そういった方々に届けるような運用をしていきたいと考えています。

──ありがとうございました。

 ガリバー店舗への来店減少に反比例するかのようなサブスクリプションのレンタル人気を見て支援を思いつき、迅速に実施するというのは、なかなかできるものではないだろう。また、ほとんど告知なしでも24時間で1万人が応募するというのも驚くべき現象だ。山畑氏の言うように、「移動に不安を抱えている人が多かった」ということだろう。クルマが応募者の手に届くのは、4月21日からになるという。

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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