●iPhone SE2は3月に発売されなかった
アップルは2020年3月にも、廉価版のiPhone SEを刷新して発売するとみられていました。現在のラインアップで言えば、ポジションとしても、製品のデザインやフォームファクターとしても、iPhone 8の後継モデルが有力です。
400ドル以下の価格、4.7インチ液晶ディスプレー、Touch IDといったプロフィールで、iPhoneのユーザーベースを世界的に高める可能性を秘めた製品になると考えられています。しかしこちらは3月に発売されておらず、2月頃の見通しとして、1ヵ月遅れるとの見方が出てからは、あまり情報がありません。
ただし、中国での製造が戻るようになれば、アップルはiPhone SEの後継モデルを投入してくるはずです。というのも、アップルは3月、iPad Pro、MacBook Air、Mac miniを刷新しており、新型コロナウイルスの影響で販売は出遅れることを織り込みつつ、新製品を発表する姿勢をくずしていません。
●5G iPhoneも発売が遅れるかもしれない
一方、毎年9月にiPhoneのフラッグシップモデルを発表してきたスケジュールを発表してきたアップルですが、このモデルに対して遅れが生じるとの指摘も出始めました。 ただしサプライヤーであるTSMCは次期iPhone向けのプロセッサを予定通り製造するとも伝わってきており、準備は着々と進めていくようです。この状況下では、製造部門の回復が先行し、需要の戻りが遅れていく前提である以上、注意深くも、これまで通りのスケジュールで製品を準備して、発売タイミングをはかることになるはずです。
2020年モデルのiPhoneの目玉は、デザイン変更と5G対応です。
特に5Gは、係争してきたQualcommと和解し、西側諸国での5G対応に道筋をつけたことから、5G対応のiPhoneが現実味を帯びてきました。しかし2019年の5G対応は見送っています。通信技術に関しては、どちらかというと、アップルはAndroidに1年程度遅れて投入してきた経緯もあり、あまり驚きはありません。
他のAndroidメーカーは、グーグルのモバイルOSを搭載するデバイス同士での競争があり、いち早く5Gデバイスを投入することが戦略上重要になります。確かにそれらのAndroidスマートフォンとiPhoneは、「スマートフォンマーケット」の上では競合していますが、iPhoneブランドを販売するのはアップルのみであり、他のメーカーとは異なるポジションにあります。
同時に、アップルは世界のスマートフォンビジネスの6割の利益を確保し、またスマートフォンの基本的なトレンドを牽引する役割があります。アプリ開発者は単一機種での開発で済むことから開発コストが安く、APIの整備が比較的早いことから、いまだに「iPhoneファースト」でアプリ開発が進んでいきます。
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