これ1台で全方位に電波が届き同時接続にも強いから、戸建てにもオススメ
繋ぐだけの簡単設定で速度も速い!アイ・オー・データのトライバンド対応Wi-Fiルーター「WN-TX4266GR」の実力
2020年03月30日 09時00分更新
ルーター単体で十分なWi-Fi環境を実現した理由
今回、本製品の開発に携わった方々にお話を伺うことができた。開発の苦労した部分点にも注目してほしい。
―― 単体でも広い範囲をカバーしつつ、たくさんデバイスを接続しても速度低下を抑えるという、Wi-Fiルーターの高みを目指したような本製品ですが、企画・開発した経緯について教えて下さい。
いま、メッシュ技術が流行っていますが、まだ改良途中であり、各社独自メッシュでしかなく、組み合わせることができる機種や機能に制限があるのが現状です。本製品はWi-Fi 6も含め新しい技術を先取りする製品ではなく、今持っているネットワークとデバイスをより高速で安定的にお使いいただけるようにと考え、これまでのオーソドックスな機能を高水準に高めたものにしています。
そのため今お持ちの環境を活かして、Wi-Fiルーターを交換や追加される場合に特に悩むことなくお使いいただけると思います。もちろん、インターネット回線の自動判別など便利な機能もあり、無線LANの暗号化やアクセス制御のためのセキュリティ設定などもあらかじめ個体ごとに個別の設定がされていますので、初めてお使いいただく方にもつまずくことはまずないでしょう。
さらに置き方やアンテナの向きを調整する必要がなく設置が簡単で、初心者はもちろん、ヘビーユーザーの方にも満足いただける性能を兼ね備えた製品に仕上がっています。
―― ごついアンテナが乱立するでもなく、スッキリしたデザインで360度全方位に電波が行き届きます。なぜそれが実現できたのか、そして実装する際に苦労した点は?
無線LAN製品の多くはダイポールアンテナを使用しています。外付けアンテナも基本的にはこのタイプがほとんどです。ダイポールアンテナは立てた状態を基本とすると、水平の面には無指向性なのですが垂直方向には電波が発射できず、この方向から来た電波をキャッチできません。
そこで本製品では、ダイポールアンテナではなく逆F型アンテナ(通称PIFA)と呼ばれるアンテナを採用しています。このアンテナはダイポールアンテナに比べて、形状と特性を変化させやすく、さらに平面ではなく金属による立体構造とすることでダイポールアンテナの弱点である上下方向にも電波を発射できるよう調整しています。
PIFAはプリント基板上のパターンでも作れますが、この場合は特定の方向での特性が悪くなる傾向にあります。ただ、立体構造だからといって電波が弱い方向がなくなるというわけではなく、調整できる余地が多く、試行錯誤を繰り返した結果として満足できる性能を実現しています。もちろんアンテナの形状は、基板の形状や部品配置を加味してチューニングされた、この製品専用の設計です。
さらに、アンテナを基板上のどこに置くかもチューニングの1つです。最初に熱設計と併せてアンテナ配置のシミュレーションを行ない、アンテナの間隔などのバランスを取れる基板サイズを検討しました。内部には2.4GHz帯と5GHz帯共用のアンテナが4本、5GHz帯専用アンテナが4本の合計8本のアンテナが内蔵されています。
このバランスをとれる配置とコネクターやボタン類の配置の共存についてはこれまで以上に悩んだ部分です。また、MIMOの場合は単に電波がムラなく出せても、安定してどの方向へもよい性能になるとは限りません。電波が強く届いたとしても、受け取った側が正常なデータを取り出せるかどうかはアンテナ同士の間隔や結合を適切にコントロールする必要があります。
このため、本製品を含めた「360コネクト」製品ではアンテナから発射される電波の強度だけではなく、実際の通信性能としてスループットも3軸で複数測定を行ない、一定の基準内でムラがないことを評価して調整を繰り返しています。
また機能面ではビームフォーミング機能にも対応をしており、周囲の障害物や反射による影響で、アンテナだけではカバーできない電波の悪影響も最小限になるよう自動で調整をします。ビームフォーミングは子機側も同じ機能に対応していないと効果を発揮できない場合もありますが、本製品ではiPhoneに代表される非対応のデバイスに対してもビームフォーミングを行なえる「ビームフォーミングW」を搭載しています。
ビームフォーミングは送信側よりも受信側のアンテナが少ない場合にしか機能しないのですが、スマホのようなデバイスは、アンテナ2本内蔵がほとんど。このため、3つの周波数帯すべてに4本のアンテナをもつ本製品は「ビームフォーミングW」と併せて幅広い子機に対して最適な状態で通信できるのです。
こうして本製品は、置き方に関係なく、どの方向でもきちんと性能が出せる設計になっていますので、置く場所や置き方を考えることなく、最適な通信環境を提供します。