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ハーバード大の著名化学者が逮捕、中国「千人計画」に関与の疑い

2020年02月01日 16時45分更新

文● Antonio Regalado

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Wikimedia

中国政府が推進する「千人計画」から金銭を受け取っていたのに、米国政府に虚偽の申告をしていたとして、ナノテクノロジー分野の世界的権威の1人であるハーバード大学化学部のチャールズ・リーバー学部長が1月28日に逮捕、起訴された。

千人計画は、外国から優秀な研究人材を引き抜く中国政府のプログラム。リーバー学部長の起訴を発表した米司法省は、千人計画を中国による知的財産の窃盗行為としており、広範に渡って取り締まっている。

米国連邦捜査局(FBI)の起訴状によると、リーバー学部長は米国政府の助成金として米国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)や米国防総省(DoD: Department of Defense)から1500万ドル以上の研究資金を受け取っていた。

研究者は外国から資金援助を受けている場合、それを開示する義務がある。だが、リーバー学部長は情報を開示せず、問題発覚後もDoDとNIHに対して「虚偽・架空・詐欺的な説明」をしていたという。

起訴状によると、リーバー学部長は2011年、中国が最先端の科学研究を行うため、武漢理工大学に研究所を設立し、「戦略的で先見性のある創造的な研究提案」をする契約を結んだ。対価として、中国滞在時には最高で月額5万ドルの給与、研究費に加え、年間15万ドルもの生活費が支払われていたという。起訴状によると、報酬は中国の銀行口座に振り込まれていたものの、現金での支払いを要求する電子メールをリーバー学部長が送っていたことも確認されている。

また、大学の名称とロゴを使った武漢理工大学の研究所の存在にハーバード大学が気がついた際には、学内の調査に対し虚偽の説明をし、正式な共同プログラムについては知らないと述べたという。

リーバー学部長は2000年から2010年まで、世界でもっとも論文が引用された化学者に位置づけられ、「ニューラル・レース(neural lace)」という概念を考案した。ニューラル・レースは、イーロン・マスクが創業した脳機械インターフェイス(BMI)企業「ニューラリンク(Neuralink)」のきっかけともなった。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、米国の当局は現在、中国の研究者と結びつきのある「数百」もの案件を捜査中だという。

同じく2020年1月28日に起訴されたハーバード大学のがん研究者ザオソン・ジェンは、大学病院から持ち出したがん細胞の小瓶を持ち歩いたとして、2019年12月に逮捕されていた。

ハーバード大学の学生新聞であるハーバード・クリムゾン(The Harvard Crimson)は、リーバー学部長は「無期限」休職に入り、大学は捜査に協力していると報じた

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