8K映像にふさわしく、スピーカーも高音質化
8K映像だけでなく、内蔵スピーカーの音質も注目だ。85V型の特大画面でも画と音が一体になった再現を目指し、「アコースティック・マルチオーディオ」を搭載。画面の上部と下部にそれぞれ2基のスピーカーを備えることで、画面全体から音が出るような再現を可能にした。さらに背面にはサブウーファーを2基左右独立で搭載した2.2ch構成となる。画面の上下にある計4基のスピーカーも、トゥイーター1基とミッドレンジスピーカー2基の2ウェイ3スピーカー構成だ。これを駆動するアンプも、合計80Wの大出力となっており、内蔵スピーカーとしては十分な実力を備えている。
8Kの凄さを実感する、圧倒的なリアリティー
8K映像や4K映像のアップコンバート表示などを見ることができたので、その印象も紹介しよう。4K映像のアップコンバート表示では、デモ映像や4K放送などを見たが、オブジェクト型超解像による精細さでディテールはより自然で緻密になる。大画面になるとどうしても細かな粗が目立ちやすくなるものだが、ノイズや輪郭の乱れもよく抑えているし、大画面なのにより緻密な映像になったとさえ感じる。コントラスト感もしっかりしているので、自然な奥行き感のある映像だ。
これはまさしく8K解像度の高精細さの威力だ。それに加えて、しっかりと黒の締まる高コントラスト、斜めから見ても色やコントラストが変化しない広視野角といった、液晶テレビとしての基本性能の高さもよく分かる。横並びで比較したわけではないが、4K有機ELテレビの印象と比べても同等かそれ以上の美しさだと感じた。
そして、いよいよ8K映像だ。こちらは8K放送の大相撲や昨年末の紅白歌合戦などを見たが、大画面で目の前に迫る圧倒的な情報量に驚かされた。土俵に立つ力士の存在感は目の前で見ているようだし、土俵の砂や俵の質感、力士がまく塩の感じが生々しい。しかも、色や輝きもより緻密に描かれるため、映像の立体感や画面に映る物のリアルさが大幅に増している。紅潮した肌は、筋肉の盛り上がりが感触までわかるし、うっすらと浮かんだ汗まで見える。その一方で、観客席にいる観衆もその表情が見えるほど鮮明だ。土俵に立った力士が見ている景色をそのまま見ているような感じがある。
紅白歌合戦でも、まぶしいライティングの輝きを見事に再現するし、ライトの色の階調もスムーズだ。美しく輝く衣装も間近で見ているようだし、ステージ最前列で見ているような臨場感にあふれている。もちろん、音はしっかりと画面と一体化しており、アーティストの口から歌声が出ているような感触。芯の通った力強い声だし、ドラムスやベースの低音も思った以上に力強くなる。
サラウンドを含めてさらに音響を強化するとしても、並のサウンドバーを使うくらいなら内蔵スピーカーで十分。実力のあるスピーカーを使って本格的なサラウンドシステムを組み合わせるのが理想だ。