FAudio Scaleのクラファン大成功、資金調達からマーケティングの場に
イヤホン分野で増える、クラウドファンディング活用
2020年02月03日 13時00分更新
かつてのクラウドファンディングといえば、「Kickstarter」や「Indiegogo」など海外のサイトで開催されていた。しかし最近では「CAMPFIRE」「Makuake」「GREEN FUNDING」など、日本語サイトも増えてきている。国内からも手軽に参加できるようになった。
最近ミックスウェーブが、FAudio製「Scale」のクラウドファンディングキャンペーンを終了した。Scaleは、同社取り扱いのユニバーサルイヤホン(カスタムイヤホンを汎用化したもの)だ。結果として目標額のほぼ4.6倍を獲得という大きな成功を収めた。
またエミライが昨年開催した、Noble Audio製の完全ワイヤレスイヤホン「FALCON」は目標額の284倍という大成功を収めたのも記憶に新しい。
上記は、FAudioやNoble Audioなど、すでに中堅のメーカーが行った例だ。一方でクラウドファンディングらしい、“ユニークで実験的な”イヤホンのキャンペーンもよく行われている。
例えば昨年の例では、イヤホンならではの問題である頭内に音がこもってしまう“頭内定位”を減少させる仕組みをもったArtioの「CR-V1」「CR-M1」がある。また、二重の密閉構造を持って、あたかもスタジオのようなリスニング環境をうたったTAGO STUDIOのイヤホン「TS-02」は、先に行われたヘッドホン「TS-01」に引き続き、開催されたものだが、どちらも成功裏に終了している。
オーディオの世界においては、2014年頃からクラウドファンディングの利用が活発になっていた。初期のクラウドファンディングで、成功した製品としては、Aurisonics(のちにフェンダーが買収)の「Rockets」(ダイナミック型イヤホン)や、ニール・ヤングが主宰したハイレゾプレーヤー「PONO Player」などがある。
一方で、パソコン用の音楽再生ソフトとして成功した「foobar2000」のポータブル版アプリがクラウドファンディングを実施した際には失敗に終わっている。成功するばかりではない。ただし、foobar2000アプリは、仕切り直した後、正式版が登場している。
まだ、歴史の浅い完全ワイヤレスイヤホンにおいては、例えば、Erato Audioの「MUSE 5」「ARIA 3」のように、当初からクラウドファンディングが活用されていた。現在でも多数の完全ワイヤレスイヤホンが、クラウドファンディングでキャンペーンを実施している。
この連載の記事
-
第300回
AV
インド発の密閉型/静電式ヘッドホン? オーディオ勢力図の変化を感じた「INOX」 -
第299回
AV
夏のヘッドフォン祭 mini 2024レポート、突然のfinal新ヘッドホンに会場がわく! -
第298回
AV
ポタフェス2024冬の注目製品をチェック、佐々木喜洋 -
第297回
AV
なんか懐かしい気分、あなたのApple WatchをiPodにする「tinyPod」が登場 -
第296回
AV
逆相の音波で音漏れを防げる? 耳を塞がないヘッドホン「nwm ONE」──NTTソノリティ -
第295回
AV
NUARLのMEMS搭載完全ワイヤレス「Inovatör」(旧X878)の秘密とは? -
第294回
AV
AirPodsで使用者の動きからBPMを認識、それを何かに応用できる特許 -
第293回
AV
次世代AirPodsにはカメラが付くらしい、じゃあ何に使う?(ヒント:Vision Pro) -
第292回
AV
OTOTEN発、LinkPlayの多機能ネット再生機「WiiM」とSHANLINGの「EC Smart」を聴く -
第291回
AV
ビクターの新機軸、シルク配合振動板の魅力とは? HA-FX550Tを聴く -
第290回
AV
HDTracksがMQA技術を使ったストリーミング配信開始へ - この連載の一覧へ