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re:Inventの新発表が多すぎる!と思うあなたへ

ぎゅっと絞り込んだre:CapをJAWS-UG初心者支部で聞いてきた

2019年12月23日 07時00分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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 「AWSは○○の期間に○○個のアップデートを発表しました」というフレーズは、AWSユーザーにはおなじみ。これが年々増える。アップデートの発表が特に集中するのが、re:Invent期間。ここで一気に数多くのアップデートが発表され、ついて行けない!となってしまった人向けに、JAWS-UG初心者支部で行われたre:Capレポートをお届けしたい。初心者向けにぎゅっと絞り込んだ内容になっており、頭がパンクしない程度にトレンドを理解できるだろう。

2019年re:Inventで発表されたアップデートはなんと254

 JAWS-UGには数々の支部がある。その多くは地方支部だが、首都圏には業種や技術分野別の支部が存在する。そのひとつが初心者支部だ。AWS初心者、JAWS-UG初心者向けに広く門戸を開いており、内容もできるだけ参加者の多くが理解できるよう配慮されている。エンジニアではない立場で、AWSの動向を追う筆者のような立場の人間にとってもありがたい支部だ。

 そこで2019年のre:Inventを振り返るreCapセッションを行なったのは、アマゾン ウェブ サービスの亀田 治伸さん。セッション時間がわずか30分というところからも、かなり内容を絞り込んできてくれていると期待できた。まずはre:Invent自体の紹介からスタート。

「re:InventはAWSからの一方的な発表の場ではなく、学びの場を重視しています。前半5日間はセッションに参加して自発的に学んでもらい、その後4つのキーノートで重要な発表を行なうという順番になっているのもそのためです」(亀田さん)

アマゾン ウェブ サービス 亀田 治伸さん

 キーノートというのは、いわゆる基調講演のこと。基調講演よりセッションを前にスケジュールする当たりに、AWSの姿勢がよく現れている。そして、ここ数年はアンディ・ジャシーの基調講演にアップデート発表を集中させる傾向があるとのこと。

 アンディ・ジャシーCEOのキーノートは3時間におよび、6つの音楽と4つのポイントを含んでいたと亀田さんは紹介した。

  • ボトムアップだけではなく、シニアリーダー陣が一丸とならなければトランスフォーメーションは成功しない
  • アグレッシブなトップダウンゴールを設けることで変革のスピードを上げられる
  • AWS自身が実施しているもので、ゴールの達成度ではなく達成に向けてどのような試行錯誤をしたのかという視点で評価する
  • テクノロジーを理解して、ノウハウを蓄積して、ビジネスにコミットできる人間を育てる
  • いきなり難易度の高いことに挑戦するのではなく、容易なところから挑戦して徐々に難易度を上げていくこと

 こうした学びばかりではなく、楽しむ場でもあることを紹介したのち、本題のre:Capに話題は進んだ。

「今年はセッション期間中に153、キーノートで77、合計254のアップデートが発表されました」(亀田さん)

 254である。16進数で表してもFE。もうちょっとであふれちゃうよ。数字は16ビット化でカバーできても、受け止める参加者の脳みそがバッファオーバーフローしそうな個数だ。全部はとてもカバー仕切れない。亀田さん、ポイントを絞り込んで、手短に解説をお願いしますよ!

深夜に発表された音楽サービスDeepComposer

 最初に紹介されたのは、Midnight Madnessで発表されたというDeepComposer。キーボードから旋律を入力すると、それを元にロックやジャズに編曲し、伴奏をつけてくれるというもの。re:Invent参加者の中にはDeepComposer用のキーボードをもらってきた人もいて喜んでいたが、「MIDIファイルを食わせればいいだけなのでキーボード自体はあまり重要じゃない」とのこと。

「re:Inventで入手した人がネットオークションで高値で売っていたりしますが、買う必要はありません。DeepComposerを試したければ、MIDIファイルをアップロードすればいいだけです」(亀田さん)

 この手のフラゲアイテム、限定アイテムはネットで高値で取引される傾向にあるが、ガジェットマニア以外は手持ちのMIDIキーボードやMIDIデータを使えばDeepComposerを試すことができるとのこと。転売目的の人たちに加担しないよう、注意したい。

DeepComposer発表後、キーボードをゲットした人もいた模様

 なおこの自動編曲サービスの裏側では機械学習エンジンであるSageMakerが使われている。特徴的なのはGAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)が使われていること。データを生成するGeneratorと、そのデータを審査するDiscriminatorからなる。Generatorが生成したデータをDiscriminatorが否定的な観点から判定し、突き返す。これを繰り返し、Discriminatorの審査をくぐり抜けたデータのみを抽出することで、より精度の高い出力を得る手法だ。

GANでより精度の高い機械学習成果を出力する

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