サイバーリンクは11月14日、AI顔認識エンジン「FaceMe」の新製品の発表会を開催した。
FaceMeは検出した顔の特徴点から3D顔モデルを作成して、データベースから個人を特定できるほか、年齢や性別、感情、頭の向きなど顔に関する属性を分析できるもので、クロスプラットフォームのSDKとして提供している。
はじめに、サイバーリンクのシニアマーケティングマネージャーである今澤浩之氏が、業種ごとの顔認識エンジンの応用例を紹介。
今後、特に注力したい分野として、顧客の入退店はもちろん、性別・年齢・感情を分析して、顧客満足度を判別する「Smart Retail(スマートリテール)」、顔認証によって勤怠管理や訪問者の入退館管理をする「Smart Office(スマートオフィス)」、モバイルバンキングや保険・金融サービス向けの「Smart Banking(スマートバンキング)」、鉄道や空港などのセキュリティーシステムと連携する「Smart Security(スマートセキュリティー)」の4つを挙げた。
続いて、ビジネスマネジメントグループディレクターの馬場規隆氏が登壇。FaceMeが持つ最大の特長は「世界最高水準の顔認証システムを開発キットとして提供していること」と述べたうえで、ソフトウェアパッケージである「FaceMe SECURITY」「FaceMe RETAIL」と、ナンバープレート監視用開発キット「FaceMe CAR PLATE SDK」の3製品を、新製品として発表した。
FaceMe SECURITYは、IPカメラセキュリティー向けの顔認証システム統合パッケージ。UIメッセンジャーを使用した通知・発報システムを搭載し、カメラに映った人物を検出して、VIPならば顧客担当へ、要注意人物や未登録人物であれば警備担当への通知が可能とのこと。
FaceMe RETAILは、来場者情報分析統合パッケージ。商業施設のサイネージや監視カメラ、キオスク端末に組み込むことで、来場者の年齢・性別・感情などを分析し、顧客満足度を判別できるという。
FaceMe CAR PLATE SDKは、駐車場などで使用するナンバープレート監視用開発キット。出車する車両のドライバーとナンバーが一致しない場合は警備員へ通知するなど、顔認証と組み合わせることで高いセキュリティーを実現し、車両の盗難防止に役立つとする。
台湾における写真・動画の検出サンプルでは、99.18%の認識率を実現したという。夜間(IR映像)や低照度、反射、雨天、正面以外など複合的な悪条件においても高い認識率を誇るほか、今後はデザインの異なる各国のナンバープレートにも個別対応するとのこと。
発表会後半では、台湾本社のMichael Tsai氏による、FaceMe SDKやFaceMe CAR PLATE SDKのデモンストレーションを実施。同氏の20年前の社員証写真と現在の顔を比較して同一人物と判断するなど、FaceMeの顔認識率の高さを披露した。
最後に今澤氏が、技術面やプロモーションなどのバックアップにより、パートナー企業とともにビジネスの拡大を狙う取り組み「FaceMeパートナープログラム」について紹介した。パートナー企業には最新技術情報を提供するほか、年2回のテクニカルセミナーや、展示会・セミナーでFaceMeを使用したソリューションの展示を実施するとのこと。
発表会会場には、TOPPANの「顔PASSセルフレジ」や、bitkeyの顔認証スマートロック「Next Gen Smartlock」など、FaceMeを用いたパートナー企業の製品も展示されていた。