新製品「Dell EMC PowerOne」や従量課金制購買モデル「Dell Technologies On Demand」も発表
初開催の「Dell Technologies Summit」、マイケル・デル氏が未来を語る
2019年11月14日 07時00分更新
Dell Technologiesは2019年11月12日、13日(現地時間)の2日間、米国テキサス州オースティンで「Dell Technologies Summit」を開催した。
今回が初開催となる同イベントは、顧客企業やパートナー企業ではなく、全世界のメディアやアナリストを対象としたもの。参加者は約200人と小規模だが、毎年春に開催する年次イベント「Dell Technologies World」で発表した事業戦略の中間報告や、新製品発表の場と位置づけられている。
「わたしは『これからの35年』に目を向けている」マイケル・デル氏
開催初日の基調講演では、Dell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル氏が登壇し、Dell Technologiesとして世界に対する社会的影響力(ソーシャルインパクト)を加速させるための新たな目標を発表した。
具体的には「2030年までに従業員の男女比率を50対50にすること」「販売する製品と、リサイクルおよび再生資源を利用した製品の比率を1対1とすること」「倫理観および透明性の向上をさらに推進すること」といった目標で、これらの取り組みにおいて従業員の参加も促していくという。
同社ではすでに2013年、ソーシャルインパクトに関するいくつかの目標を掲げ、最終年度に設定した2020年を前に主要目標を達成してきた経緯がある。たとえば「20億ポンド(約91万トン)以上の使用済み電子機器のリサイクル」「1億ポンド(約4万5400トン)の持続可能な材料(リサイクルプラスチックなど)の新製品での利用」「全世界のDell Technologiesグループ社員による500万時間のコミュニティ奉仕活動」といった目標だ。
さらに、2030年に向けたビジョンとして「2030 Progress Made Real」を掲げており、持続可能性の推進、インクルージョンの醸成、テクノロジーによるライフシーンの変革、倫理とプライバシーの維持といった観点から、技術と人、そしてスケールを通じて、人類と地球に永続的な影響を与えることを目指している。
今回発表した新たな目標は、こうした実績とビジョンに基づいて打ち出したものだ。
「これは世界数十億人の人々、すべての従業員、お客様、デル製品に対して、目に見えるポジティブな効果をもたらす企業目標となる。四半期ごとに成果を測るようなものではなく、十年単位で(長期的な視野に立って)取り組むものだ。Dell Technologiesはこれまで35年間、さまざまなことを達成してきたが、わたしは『これからの35年間』に目を向けている。今後は誰もがデジタル経済に進出しなければならず、そこに加わりたい人々を支援していく必要がある。また、テクノロジーは人々の生活をポジティブなかたちで豊かにしなければならない。『Progress Made Real』は、そうした社会を実現するためのビジョンだ」(デル氏)
さらにデル氏は、テキサス大学デルメディカルスクールのクレイ・ジョンソン博士を壇上に呼び、ヘルスケア分野におけるテクノロジー面での貢献について紹介した。インドにおいて予防医療のための遠隔医療システムを構築し、現在すでに1100万人にサービス提供を行っているという。今後、この取り組みを4000万人規模にまで拡大する計画だ。
これからの「データの10年」に対するDell Technologiesの貢献姿勢を示す
もうひとつ、デル氏が示したメッセージが「the next data decade(次のデータの10年)」だった。これは、今回のDell Technologies Summitのテーマにも掲げられている。
「2007年には年間で86ペタバイトのデータが生成されたが、2019年現在は同じ量のデータが18時間で生成されるようになった。2030年になると、それがわずか10分で生成されることになるだろう。これが“the next data decade”の姿だ」(デル氏)
この莫大な量のデータを活用し、イノベーションを起こすことで、社会や企業の抱える課題を解決し、社会全体に変革をもたらさなければならない。しかし、これだけ多くのデータが持つパワーを生かすためにはテクノロジーが必要である。そこにDell Technologiesが貢献できるチャンスがある、とデル氏は語った。