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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第235回

Surface Duoの前から2画面端末にこだわっていたマイクロソフト、モバイルの戦略の変遷を振り返る

2019年11月02日 12時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

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 10月2日(現地時間)、Androidデバイス「Surface Duo」を発表して業界を驚かせたマイクロソフト。同社がスマートフォン市場に挑戦するのは初めてではない。だがWindows以外のOSを迎え入れるという点は大きな変化となる。

マイクロソフトとスマートフォンの苦い歴史

 Surface Duoは来年末に発売されるという2画面折りたたみ型のモバイル端末だ。登場は少し先なので、詳しい仕様は明らかになっていないが、AndroidがOSであること、画面は5.6型×2で、開くと8.3型のタブレットになるが、2つの画面は独立して動作することなどは公表されている。対応する無線方式、プロセッサ、ストレージもわからないし、特別なものであると予想されるAndroidがどのようにカスタマイズされているのかもわからない。

2画面であることOSがAndroidであることが発表されている「Surface Duo」だが、発売は来年末の予定。まだまだその正体は見えてこない

 Surface Duoはいくつかのポイントで語ることができる。

・マイクロソフトのスマートフォンの歴史
・Surfaceブランドの拡張
・折りたたみ型

 動きの激しい業界にあって随分遠い昔のように思えるが、マイクロソフトこそ”スマートフォン”という分野を確立しようとした最初の企業の1つだ。90年代半ばに「Windows CE」を発表、今ではフィーチャーフォンに分類されるSymbian側もこれを受けて単なる携帯電話から多機能なスマートフォンを提唱するようになった。第一世代のスマートフォンはSymbian、そしてマイクロソフトがプレイヤーだったのだ。

 その後のiPhone、そしてAndroidが現在のスマートフォンブームを作り、SymbianはNokiaに、そしてマイクロソフトはNokiaのデバイス部門を取得して(2013年)、モバイル事業を立ち上げるが、結局はHMD Globalに売却する(2016年)と続いた。最終的にWindows Phone終了を明らかにしたのは2017年のこと。初代iPhoneが発表されてから10年の間に、マイクロソフトの戦略も大きく変化した。

 そのようなアップダウンを経てのSurface Duoの発表となる。

 Androidを採用したのは、ほかでもないこれまでのスマートフォンでの教訓からだろう。Windows PhoneはタイルUIなどで差別化を図ったし、Windows 10 MobileではUniversal Platformとして、1つのコードでモバイル向けとデスクトップ向けのアプリケーション開発ができるという仕掛けも試みた。だが、結局アプリは充実せず、それが大きな失敗要因となった。1年先に発売を予定しているSurface Duoを今発表する理由も、アプリ開発者に訴求してアプリを整えてからのスタートを切りたいのではないか。

2画面端末へのこだわりは昔から
トレンドに乗ったのではなく、ずっと挑戦していた!?

 続いてはSurfaceブランドについて。

 マイクロソフトは2012年に初代Surfaceを発表している。2012年といえば、まだスティーブ・バルマー氏がCEOとして同社を率いていた時代だ。その翌年に、バルマー氏は自分の元部下だったスティーブン・エロップ氏が率いていたNokiaを買収する。その経緯もあって、その後もSufrace Phoneの噂はずっとあった。

 マイクロソフトが初めて本格的にPCを開発したSurfaceは、Surface Pro、Surface Book、Surface Laptopとラインを拡充させてきた。今回のSurface Duo、そして同時に発表された「Windows 10X」搭載の折りたたみ型ノートのSurface Neoとなる。

 そして折りたたみ型。このところSamsung(「Galaxy Fold」)、ファーウェイ(「HUAWEI Mate X」)などがフォルダブルフォンを発表しが、マイクロソフトの折りたたみ型への挑戦は筋金入りだ。

 マイクロソフトは2008年、”Courier”(フランス語で郵便の意味)と名付けられた折りたたみ型デバイスの開発を進めているという憶測があった。プロジェクトはその後打ち切りとなったようだが、1年ほど前には”Andromeda”というコード名も浮上した。やはり2画面の端末と言われていた。その流れで考えると、トレンドに乗ったというより、マイクロソフトが考えるビジネス向けのモバイルデバイスのこだわりを固守したという方が適切なのかもしれない。

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