SPORTS TECH TOKYO「World Demo Day」
電子トレカ、自動ハイライト動画生成、女性の体調管理まで――スポーツの課題にテックで挑むベンチャー12社
2019年11月25日 06時30分更新
ソフトバンクホークス、横浜F・マリノスも導入、スタジアムのバーチャル化でチケット販売促進
スペインに本拠地を置くMMC(Mobile Media Contents)は、「3D Digital Venue」として、スタジアムなど施設の視覚化ソリューションを提供する。「ダイナミック、顧客フレンドリーなオンラインチケット販売が可能になる」と同社のSteve Stonehouse氏はいう。
35以上のチケットパートナーと提携しており、APIを利用して簡単に組み合わせることができる。すでにAtletico Madrid、F.C. Barcelona、England Rugbyなどがチケットシステムで導入しており、Manchester CityではホームのEthihad Stadiumをバーチャル化し、シーズンチケット購入者向けに、そのシートからの眺めを仮想的に体験してもらうなどのサービスを提供して、チケット販売の売り上げ増を図っているという。17カ国・350以上のスタジアムや施設で利用されており、7言語に対応済み。日本でもソフトバンクが福岡ヤフオク!ドームで採用している。
STT参加により、横浜F・マリノスが公式サイトで採用することが決定したという。実現すればJリーグで初のバーチャルビュー対応チケット体験を提供することになるとしている。
スマホで試合を実況中継
チームを愛し、選手について詳細に知っているファンは、素晴らしい解説者にもなりうる。SportsCastrはスマートフォン、あるいはブラウザーからユーザーが試合の実況中継を配信できるライブ動画配信サービス。HD品質をミリ秒の遅延で配信できる。ユーザーはキャスターとなって試合の解説やコメントをしたり、独自のハーフタイムショウをホスティングすることもできるという。リアルタイムでのスコアボードの組み込みも可能で、結果予想やサマリーをシェアするなどのソーシャル性、試合中にチャットやコメントを表示するなどのインタラクティブ性も備える。
現在ベータだが、すでにたくさんのコンテンツがあり、NBA、NFL、MLB、ラクロス、ゴルフなど様々なスポーツの解説を見ることができる。
SportsCastrはまた、Fanchainという仮想通貨も発行しており、独占コンテンツへのアクセス、チケットの購入、バーチャルギフトの購入などに利用できる。
米ニューヨークに拠点を持ち、NBAの元コミッショナーDavid Stern氏をはじめ、Steve Smith氏やBilly Owens氏などの元NBA選手がアドバイザリーとして参加しており、米スポーツ業界で注目を集めている。NFLプレイヤー連盟(NFLPA)や仮想通貨に強いベンチャーキャピタルの支援を受けている。調達前段階での価値(プレマネー・エバリュエーション)は2000万ドルで、累計の調達額は500万ドルに達しているという。
直接コンシューマーに配信するBtoCだけでなく、スポーツチームや放映権者にOEM提供するBtoBも展開しており、STT参加によりSPOLABoのOTTプラットフォームにおける試験導入が決定(企業名非公開)、V.LEAGUE TVは検討中という。
ハイライト動画を自動生成
ファンエンゲージと動画という点では、Reelyも選ばれた。試合の動画をアップロードまたはストリームすると、ハイライト動画や動画クリップを自動で生成してくれるというもの。コンピュータビジョンを利用しており、タグづけもやってくれる。生成された動画は、Facebook、YouTube、Twitterなどのソーシャルプラットフォームで共有もできる。
「これまでハイライト動画を制作することはコスト、スケールなどの課題があり、技術へのアクセスも制限的だった」と共同創業者兼CEOのCullen Gallagher氏、特に高校や大学などのスポーツクラブに適したソリューションと位置付ける。
スポーツだけでなく、eスポーツにも対応。すでに顧客もいる。ビジネスモデルとしては、広告などが考えられるとしている。Nvidia、Amazon Web Servicesなどと提携している。