全国小中学生プログラミング大会実行委員会は10月20日、秋葉原で「第4回 全国小中学生プログラミング大会」の最終審査会・表彰式を開催した。
同大会は、小中学生を対象にしたプログラミング・コンテスト。PC・スマホ・タブレットで動作する、オリジナルのプログラムやソフトウェア、ロボット・電子工作などのハードウェアを取り扱う。なお、使用言語や作品形式は問わない。
最終審査会・表彰式では、全応募351作品のうち、1次審査と2次審査を経た10作品から、グランプリや準グランプリなどを決定。審査委員長は東京大学名誉教授でアーティストの河口洋一郎さんが務めた。審査員はプロダクト・ファウンダーでエンジニアの増井雄一郎さん、ロフトワーク代表取締役の林千晶さんなどが担当する。
グランプリは小学2年生の小長井聡介さんが受賞
グランプリには、小学2年生の小長井聡介さんが考案した『現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機』が輝いた。この作品は渋谷のスクランブル交差点を再現しており、交差点の自動車や人の流れをシミュレーションできる。小長井さんは、安全で渋滞のない交差点や信号を作ることに繋がることを期待し、この作品を制作したという。
審査委員長の河口洋一郎さんは、安全のために複雑なスクランブル交差点を再現したことに加え、地道に現地調査を重ねたことも評価。「応募に対する姿勢、現地調査的な丁寧な姿勢も審査員一同に多くの共感を集めたところです」と褒め称えた。
準グランプリは、小学3年生の安藤颯亮さんが手がけた『会話おたすけ音声ロボット』が受賞した。怪我や病気で話せなかったり、鉛筆やペンを握れなかったりする人でも使える会話ツール。スクラッチで作ったひらがな表に、WeDoでカーソルを合わせて、micro:botでBボタンをクリックするだけで、ロボットが代わりに喋ってくれる。
安藤さんは、テレビ番組でホーキング博士を観て、同じような状況に困っている人向けにロボットを開発したいと考えたとのこと。審査員の増井雄一郎さんは「『人のために役に立ちたい』という気持ちは素晴らしいと思います。ハードウェアやプログラムを使って、自分なりに形にし、身体をあまり動かせない人でも会話できるようにする。本当に素敵なことだと思います」と絶賛した。
小学6年生のスマホアプリや、中学2年生の英語パズルなどが優秀賞
小学校低学年部門の優秀賞は、小学2年生の越智千晶さんが作成した『まほうのぼうしと黒猫アキラとピカつむり』が賞を受け取った。屋内にいても、まほうのぼうしが外の気温や雨が降っているか否かなどを教えてくれるというもの。電気を作り出せるソーラーパネルや、雨で濡れても耐えられる素材などを採用しており、細部にもこだわっている。
小学校高学年部門の優秀賞、小学6年生の澁谷知希さんが開発したスマホアプリ『Famik』が獲得した。このスマホアプリは、体温や病状を入力すると、熱の推移をグラフに、病状の変化を表にしてくれる。LINEやメールなどでデータを共有したり、病院を検索したりもできる。対応OSはiOSとAndroid。
中学校部門の優秀賞は、中学2年生の平野正太郎さんが手がけた英語のパズル『Let'sえいごパズル!』が表彰された。このパズルは幼稚園〜小学生が対象で、自分の手でキューブを動かして遊べる。平野さんは、この作品にほとんどやったことがなかったという赤外線通信を採用し、自分なりに工夫をしたとアピールしている。
「去年や一昨年とは違う、新しい波が出てきた」
最終審査会・表彰式は、審査委員長の河口洋一郎さんが総評で締めくくった。
河口さんは「このプログラミング大会は、毎年どんどん時代が変わっているので、皆さんも新たな展開をしてほしいなと考えています。今回はグランプリを含めて、去年や一昨年とは違う、新しい波が出てきました。ぜひ来年応募される方は、今回のグランプリが来年に繋がるわけではないので、新鮮度が高いテーマにチャレンジしてほしいなと思います」と述べた。
また、独創性やアイデアに富んだ作品を制作するには、今回のグランプリ作品『現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機』のように「真面目で地道な努力」が必要だと強調。「自分たちが持っているようなテーマをより深く掘り下げて、また来年に向けてやっていただけると、非常に良い物が生まれるなと思います」とコメントした。
続けて、「自分にしかできないこと」を追求し、発展させていくことの重要さにも言及。「皆さん、たぶん自分にしかできないことがいっぱいあると思うので、自分の得意技として、これからの発展的なものに応用していった方がいいかなと思います。毎年、個人個人が新しいことをやっていくことよりも、どんどん深くやっていって、さらに飛躍していく。個人で見たら、この姿勢が大切です」とメッセージを贈った。