昔を懐かしむだけでなく、いま聴いてもよい音楽
2019年、ストリーミングが当たり前になり、一方でアナログレコードの人気も再燃している時代。
若い世代の間でシティ・ポップ、昔は「ニュー・ミュージック」と呼ばれていた音楽の一部が再評価されており、海外の音楽ファンの間でも日本のアーティストのレコードが高値で取引されています。
また、1980年代のディスコ・モダン・ブギー(ちょっと定義の難しい概念なのですが……)や、AORなどと呼ばれていた音楽の影響を感じさせるような新進気鋭のアーティストも増えています。アーバンでクリスタルなやつです。
もっとも、これを、「70〜80年代の音楽がリバイバルしている」「シティ・ポップが復活した」などと決めつけるのは安易かもしれません。
作り手がトレンドを追いかけなければレコード/CDショップに並べられない時代は終わりつつあり、無限とも思える大量のカタログから、インターネットを通じて並列に音源を探せる昨今。「これは〇〇年代、これは流行モノ」などといちいち時代性を気にせずとも、「これはよいな!」という感性で、今昔の区別なくポップを探求する人たちには有利な時代といえます。
2019年を生きるクリエイターは、DJが古今東西のライブラリーからよい曲をチョイスするがごとく、普遍的な“よい音楽”を作ろうとしている。その中で、現在/過去にとらわれず、自由に選んでいるのではないかと思うことがあります。現在進行系のさまざまな音源を、「シティ・ポップのリバイバル」と安易にカテゴライズするのは見識が狭いかもしれません。むしろ、今だからこそ、昔の“名盤”を懐メロとして消費するのではなく、現在に通用する要素をしっかり楽しめるはず……。
ハイレゾCDで令和に聴くオフコース
いささか前置きが長くなってしまいましたが、ハイレゾCDです。ユニバーサル ミュージックは、「ハイレゾCD」シリーズとして、オフコース編(15タイトル)とイージー・リスニング/ムード・ミュージック編(10タイトル)を9月25日から、ポピュラー・ヴォーカル編(10タイトル)を10月23日から、モータウン編(5タイトル)を11月27日から発売します。価格は2800円(税抜)、2枚組は3800円(税抜)。
ハイレゾCDについては、アスキーでも何度か記事にしています。少し変わった仕様の音楽CDで、普通のCDプレーヤーで再生すると、44.1kHz/16bitの“CD音源”。MQA対応DACに通すと、最大352.4kHz/24bitの“ハイレゾ音源”として認識されます。
ハイレゾCDの場合、記録してあるデータだけでなく、物理メディアも「UHQCD」という、ピットの形状が整いドライブ内での乱反射が少ないというディスクを採用しているのが特徴です。
さて、オフコースといえば「言葉にできない」「さよなら」「Yes-No」など数々のヒット曲をもつバンド、小田和正が所属していたバンド……という印象が強いかもしれませんが、まさに今日のリスナーにも刺さる“アーバン”な雰囲気と、過度に要素を盛り込まないアレンジが、今なお普遍性を持っている音楽です。それをハイレゾCDの高音質で、気軽に再確認できるようになりました。
なお、「オフコース編」のハイレゾCDは、「オリジナル・アナログ・テープを基にした192kHz/24bitマスターを176.4kHz/24bitに変換して収録」しているとのことです。