塩元帥は、スープ取りも製麺も「店舗」で実施する
あらためての紹介になりますが、塩元帥は、化学調味料の不使用と、手づくりにこだわったラーメン店。大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・岐阜・岡山など、西日本を中心に展開しています。今回は大阪市淀川区の「西中島塩元帥」におじゃましました。
ちなみに塩元帥はのれん分け制度をとっており、各店舗が独立採算制なのだそう。「それとラーメンの味に何の関係が?」と思った人もいるかもしれませんが、ラーメン店に限らず、複数の店舗を有する飲食店は、セントラルキッチン(集中調理施設)で集中的に調理し、各店舗に配送することで、ある程度の効率化と味の均一化が図られていることがあります。
しかし、塩元帥はセントラルキッチンをもたず、毎日各店舗でスープ取り・製麺・焼豚を作っているのだそうです(全社員がラーメンの仕込みをできるとのこと)。無化調と天然素材、そして手づくりにこだわる……そんな姿勢が垣間見える逸話といえるでしょう。
塩ラーメンは飲み飽きないスープがすごい!
では、さっそく、名物の「天然塩ラーメン」(760円)を食べてみましょう。毎日飲んでも飽きない味にこだわっているという、そのラーメンの出来栄えは……。
スープを飲み、麺をすすり、「へえ! ほーう!」とうなってしまいました。率直な第一印象は「驚き」です。無化調だとパンチがないのではないかしら、塩だけだと単調ではないかしら……などと思っていましたが、よい意味で驚かされました。
さまざまなダシを使ったというだけあり、単なる塩味ではありません。鶏ガラ、魚介はもちろんのこと、多種の野菜の味わいもたしかに感じられます。そんな多種多様な旨味の中に、塩とエビ油がきちっと主張する、奥深いスープになっている。味に奥行きがあるといいましょうか。もう一口、さらに一口……と飲みたくなる。のっぺりとした塩辛さではないので、飲み飽きないのです。
麺はどうでしょう。まず、つるつるとした舌触りがみごと。歯ごたえもよく、太すぎないのに主張があるため、スープの深いコクの中でもきっちりと存在感があります。トッピングも、豚バラを使った自家製チャーシュー(味が染み込んでおりやわらかい!)に目が行きがちですが、白ネギ、糸唐辛子、ゆず、春菊など、塩味のスープに食感と香りでアクセントを加えるチョイスになっていますね。うーむ、さすが。完成度の高いラーメンです。
取材に同行してくださったキンレイの商品企画部の福田さんによれば、冷凍ラーメンの中でも、インパクトを出しやすい醤油や豚骨に比べて、「塩ラーメン」はなかなか開発に苦戦する味だそう。それでもなお、お水がいらないシリーズで、ぜひラインナップに加えたい……となるのもわかる、みごとな仕上がりでした。いやー、食べに来てよかった。