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LPジャケットの大きさはやっぱりインパクト抜群

でかっ!! レコードで聴くアニソンってどうなの!? いろんなアルバムを聴いてみた

2019年08月15日 15時00分更新

文● ASCII コメント●鳥居一豊、高橋敦、野村ケンジ

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気難しさと付き合うのも「また魅力」と感じられる人へ

 ことサウンドに関して話を絞ると、制作者側の意図通りに正しい音をありのまま的確に表現してくれるハイレゾで、耳馴染みの良い官能的な音を聴かせてくれるのがアナログレコード、といった印象を感じていましたが、今回の取材でその印象が再確認できました。

 たとえば「キャロル&チューズデイ」を聴くと、ハイレゾは押し出しの強い低域と煌びやかで印象的なヴォーカルに目が行きますが、アナログレコードだとライブハウスで歌っているかのような臨場感を伴った歌声や演奏を堪能することができます。

野村家で稼働中の、Tien Audio「TT3+Viroa 10inch」。55万円(税抜)だが、内容を考えれば、かなりお得とのこと。載っているレコードは海外クラファンで作られた「メイドインアビス」のサントラ盤。グリーンのカラーレコードがおしゃれだ。

 もちろん、両者ではマスタリングが全く異なっていますが、それにしても、同じ2mixから作られたとは思えないほど、アレンジ違いかと思うほどサウンドの特徴が異なって聴こえます。それほど、アナロクとは人の体にすっと入ってくる、とても聴き心地の良いサウンドに感じられるのです。これは、どちらの音が良いということではなく、どちらが好みかという話なのだと思います。当然、どちらも好き、どちらもコレクションしたいという思いは、とても理解ができます。

 いっぽうで、アナログレコードの気難しさはあらかじめ知っておく必要があります。アナログレコード、そしてそれを再生するオーディオ機器はとてもシンプルな構造ゆえに、調整にシビアな一面も持っていますので、安定して良い音を楽しみ続けるのはなかなか難しかったりします。また、ハイレゾよりも格段にオーディオ機器のコストが嵩んでしまう傾向もありますので、ある程度の覚悟は必要です。なんといっても、9万円のテクニクス「SL1200 MK7」がエントリーの範疇に分類されてしまう世界ですから。思いっきり拘るか、ある程度で割り切るか、判断の難しいジャンルでもあります。まあ、僕と一緒に沼にハマりましょう、とりあえず100万円あれば相当いい音が手に入りますよ、ということで(笑)

アニソン好きに向けて、レコードの魅力を語るなら

 アニソンは、ボーカルの魅力が命だったり、ピアノや弦楽器などのアコースティック楽器が多用されていたりするので、アナログレコードの音質的特徴とはなかなか相性が良かったりします。普段聴いているCDとはちょっと違う、いい意味で魅力倍増の歌声や、より壮大なイメージとなったオーケストラ演奏などを楽しむことができます。

 しかも、ハイレゾの“いいところも嫌なところも全部見せる”音ではなく、聴かせどころをわきまえたかのように整った、それでいてリアリティを感じられる自然な音を楽しませてくれるのです。ことサウンドに関して、アニソンのレコードはオススメといえます。

 音質とともに大きな魅力といえるのが、ジャケットサイズでしょう。CDに対して各段の大きさとなる30cm四方の大判ジャケットは、アニメタイトルもの、アニソンアーティストものどちらも強い存在感を示し、映像的な情報によって音楽の魅力をより際立たせてくれます。また、CDジャケットは壁に1枚飾ってもあまり目立ちませんが、アナログレコードを額に入れて飾るとそれはもう“アート”になってくれます。音だけでなく飾っても楽しいグッズという点でも、アナログレコードはアニソン向きだと思います。よって、アニソン系タイトルのアナログレコードは、たとえシングル作品だとしても12インチで作って欲しいと切に願います!

野村ケンジ

ヘッドホンなどのレビューを中心に幅広いジャンルで活躍中のAVライター。TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNセレクト」のアドバイザーとしてレギュラー出演するなど、近年は活躍の場をさらに広めている。アナログレコードに関しては、若い頃のヴィンテージオーディオ誌での仕事が災いして“機器も盤もスゴイこだわりの世界、この沼にハマったら大変なことになる”と敬遠していたが、5年ほど前から一念発起して(諦めの境地で)スタート。先日導入したテクニクス「SL1200 MK7」をはじめTien Audio「TT3+Viroa 10inch」など複数台のアナログレコードプレーヤーや、様々なメーカーのカートリッジを試しつつ経験値を稼いでいる最中。

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