「いいよ」と言うまであきらめないんだろう?
岡田 Bluetoooth用のSoCにクアルコムの「QCC3026」を採用したのは、一番小さな石だからです。Bluetooth通信機能だけでなく、アンプやバッテリー制御まで含めた全てが入っていますし、5社ほど先行して販売されているモデルがあり、実績の面でも問題ないだろうと。
置く場所がないので、配線はぜんぶフレキケーブルにして、筐体の内側に巻くことにしました。8本ぐらいの線が通っていて、部品は全部これにつながっています。電池は入手できたけれど、当然、このサイズに合った、充電端子もありません。なかったら作るしかない……ですよね?
筐体に入らなければ、ドライバーから作る。端子がなければまた作る。リード線をつなげないなら考える。そのたびに、普通はしないようなお願いをして怒られる。この繰り返しですね。
「小さいと充電ケースからイヤホンが取り出しにくくなるので、開閉に合わせて持ち上がる機構を入れたのですが、簡単なようでかなり複雑な設計が必要になり、大変苦労しています」
── 実にクラウドファンディングらしいですね。
岡田 こんなことを続けていたら、部品メーカーを訪問するたびに「またアイツが来たぞ!」と言われるようになってしまいました(苦笑)。でも、どうせやるならバカなことしたいですよね? そして現場の人も「そこまで言うなら、やれば」と失笑しながらも協力してくれるようになったのです。
── 熱意が通じたんですかね。
岡田 う~ん。というよりも、あきらめられた感じですかね。どうせお前は「いいよ」って言うまで来るだろうからって。