6月27日、KDDIはANAインターコンチネンタルホテル東京にて「KDDI 5G SUMMIT 2019」を開催。同社代表取締役社長の髙橋 誠氏による基調講演や、5Gに関係する企業や団体のセッション、技術展示などが行なわれた。
5Gでリカーリングモデルが実現
髙橋氏の基調講演では冒頭に「今年は令和元年であり5G元年でもある」と、5Gがスタートすることをアピール。さらに政府などが進めている「Society 5.0」の実現には5Gが必須であるとし、デジタルトランスフォーメーションを加速させる大きな役割を5Gが担っているとした。
また、5Gをサービス開始する2020年3月にむけて準備も進んでいるとし、2024年度末までに5Gの基地局は4万局以上を構築予定。これはドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルと比べても最多となっている。ただし、5Gの運用に関して髙橋氏は「ピカピカの4Gとスペシャルな5Gを組み合わせたハイブリッドネットワークになる」と説明。エリア展開としては4Gがメインとなり、ポイントポイントで高速の5Gが利用できるというイメージになりそうだ。
さらに髙橋氏は5Gが普及することにより「ビジネスモデルがサブスクリプションモデルからリカーリングモデルに変わる」と話す。たとえばウォーターサーバーのようなビジネスもサブスクリプションモデルでは毎月決まった本数のタンクが届き、月によっては使い切れない場合もある。リカーリングモデルではウォータータンク内の水がなくなりそうになったら配送されるため、顧客のユースケースにあったサービスを提供できるようになる。
このリカーリングモデルでポイントとなるのが、IoT技術。髙橋氏はリカーリングモデルのキーワードとして「トラステッド(信頼性)&イノベーティブ(革新的)」を掲げ、前者ではトヨタ自動車などとIoT技術領域での協業を例としている。また、後者についてはKDDIグループのソラコムを紹介。ネットワーク仮想化技術など最先端のIoTサービスをすでに提供していることをアピールしていた。
5Gでのドローン運用は基地局がポイントに
企業や団体のセッションでは「5Gで変わるドローンの世界」をテーマとして、プロドローン 常務取締役 市原和雄氏が登壇。プロドローンは産業用ドローンメーカーで、これまで「アーム付きドローン」や「張り付き型ドローン」、「30kg搭載ドローン」などをリリース。最近では災害などの際に人が乗り込める対話型救助用パッセーンジャードローン「SUKUU」を発表している。
市原氏は5Gの普及によって、ドローンもさらに進化すると説明。特に5Gの超低遅延がドローンの遠隔操作に大きな影響を与えるという。ただし従来のようにインターネットを経由してサーバーなどクラウドへアクセスするようなシステムでは、5Gの低遅延が生かし切れない。そこでモバイル網にエッジコンピューティングを実装する「MEC(モバイルエッジコンピューティング)」に注目。5Gの基地局がエッジコンピューティングとして機能することで、ドローンからのデータをクラウドではなく基地局で処理し、5Gの低遅延を活かした活用ができるようになるという。