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三菱日立パワー、米企業と共同で大規模エネルギー貯蔵PJ

2019年06月04日 07時18分更新

文● James Temple

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三菱日立パワーシステムズと、米国の岩塩坑運営企業マグナム・デベロップメント(Magnum Development)が提携を発表した。水素と地下深くに格納された圧縮空気を利用する世界最大規模のエネルギー貯蔵プロジェクトに取り組む。

エネルギー専門家の中には、このプロジェクトの実現可能性に疑問を投げかけている人物もいる。プロジェクトで使用する技術の現在の経済性や、これらの技術が送電網における電力貯蔵の選択肢として幅広く使用されていないことを踏まえてのことだ。加えて今回の発表では、顧客だけでなく、公的資金源や民間資金源を特定しておらず、今後数週間から数カ月以内に「戦略的パートナーおよび資金提供元が追加で参加する」とだけ記載している

両社が手掛ける1ギガワット規模の先進的クリーンエネルギー貯蔵プロジェクトは、ユタ州ミラードに構築される予定だ。水素、圧縮空気、フロー電池、特定の種類の燃料電池の4つの異なるテクノロジーを何らかの形で組み合わせて使用する。

三菱日立パワーシステムズは、天然ガスと水素の混合物から電力を発電するガスタービン・テクノロジーを開発している。今回のプロジェクトの発表によると、現在は水素だけで動作するタービンの開発に取り組んでいるという。三菱日立パワーシステムズがプロジェクトが提携するマグナム・デベロップメントは、米国西部で、プロパンやブタンのような液化天然ガスが蓄積されている岩塩坑を運営している企業だ。だが同社は、岩塩坑を利用して水素を貯蔵する方法や、空気を圧縮してエネルギーを貯蔵する方法の開発にも取り組んでいる。

安価なエネルギー貯蔵を送電網に大量に追加する方法を見い出すことは、風力や太陽光といったクリーンだが不安定な再生可能エネルギーが総発電量に占める割合を増やすために不可欠だ。しかし、今日の貯蔵方法は価格が高いだけでなく、電池の寿命や、揚水発電などの安価な選択肢に対する地理的や環境的などの制約が大きい。

送電網規模のエネルギー貯蔵において、最終的には水素が重要な役割を果たすだろうと考える研究者が増えている。安価で再生可能な余剰電力を利用して、水を酸素と水素に分解する「電気分解」プロセスを推進することが期待されている。だが現状は、電解槽が非常に高価なことと、水素の輸送が困難であることがとりわけ問題となっている。

太陽光や風力で発電した余剰電力を使用すれば、地下洞窟の空気を圧縮することもできる。その後、必要に応じて圧縮した空気を放出すれば、電力を生成できる。このような事業は、適切な地質を持つ空っぽの洞窟が存在する場所にしか構築できない上に、大量の資本を必要とするプロジェクトなので、ごくわずかしか実施されていない。

しかし、再生可能資源の基準が上昇し、クリーンエネルギーの義務がさらに厳格になるにつれて、このような手法の必要性が高まりそうだ。それにより、経済性の見込みが高まる可能性がある。

マグナム・デベロップメントは、2014年に計画された80億ドルのプロジェクトに参画したこともある。ワイオミング州での風力発電の電力をカリフォルニア州へ送ることを目指すプロジェクトで、送電の途中でユタ州の岩塩坑の貯蔵を利用することになっていた。しかし、このプロジェクトは「保留」されている。その理由は、マグナムのパートナーであるデューク・アメリカン・トランスミッション(Duke American Transmission)のWebサイトでの説明によると、顧客を確保できていないからだという。

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